ベトナム

【社会主義の実際】ベトナムってどんな国なの?

みなさんは学校で,ベトナムは社会主義国家だと習いましたか?ベトナムの正式名称はベトナム社会主義共和国です。やはり,ベトナムは社会主義のようですね。

 

ベトナムは
社会主義国家ですよ

 

私自身,社会主義国家でどのように人々は暮らしているのかを知りたいというのがベトナム留学を目指した1つのきっかけです。この記事では,ベトナムの歴史や社会主義国家としてのベトナムを,体験談も交えながらお伝えしていきます。

★この記事の流れ★

社会主義国家としてのベトナムを歴史を簡単に振り返りながら体験談を交えてお伝えしていきます。

ベトナムの歴史

ベトナムの歴史に関してはこちらの記事をご覧ください。

【紙芝居風に理解!】現代ベトナムの歴史を分かりやすくまとめてみた みなさんは,ベトナムという国にどのようなイメージをもたれていますか?実際のベトナムの歴史は,非常に複雑です。そし...

 

社会主義って?

社会主義は資本主義の失敗から現れた考え方です。そこでまずは,資本主義の説明をしていきます。資本主義とは18世紀後半にイギリスで起こった産業革命がきっかけで出てきた考え方です。具体的には,土地や工場などといった「資本」を個人が所有し,国に管理されない自由な経済を行うことで経済が発展していくという考え方です。

自由な経済を行うことでちょうど良く市場のバランスが取れる作用をアダム・スミスは「神の見えざる手」と称しました。

 

しかし,資本主義には問題もあります。19世紀後半には,資本主義経済によって貧富の差が拡大したり不況によって失業者がたくさん出たりしました。そこで,ドイツの経済学者であるマルクスは資本主義経済を批判して社会主義経済を唱えました。

社会主義経済というのは,資本主義とは異なり国の管理下で経済を行うことにより貧富の差をなくし全国国民が平等になることを目指す考え方のことを指します。

究極的な平等を目指すのが共産主義で,社会主義はその過程だとも言われています。

 

歴史的背景から,ベトナムは社会主義体制を取っています(コチラのページ参考)。以下では,ベトナムの社会主義国家としての側面を「政治」「経済」の2つの観点から眺めていきたいと思います。

 

ベトナムの政治

以下では,項目別にベトナム政治の社会主義的側面を探っていきましょう。

一党独裁政権

ベトナムの政治情勢は共産党の一党独裁です。日本のように与党と野党がある訳ではなく,共産党がベトナムの理想とする主義主張を掲げているとしているのです。この点は,ベトナムの社会主義国家らしい一面です。

政府転覆罪

一党独裁政権であるがゆえに,言論や思想の統制も厳しく行われています。例えば,公共の場での反体制的な言動は禁じられています。実際に,2018年8月22日には政府転覆活動を行っていたとして禁錮5~14年を言い渡された人もいます。

また,この法令は外国人観光客に対しても容赦なく適用されます。我々も他人事と思わず,公共の場では自分の発言に気をつけましょう。

出版物統制

言論・思想が制限されるということは,出版物も厳しく取り締まります。これも外国人に適用されるため,実際に空港で出版物の持ち込み調査が行われることもあるようです。

警察の力が強い

現地では制服を着た公安(日本でいう警察)が町中で取り締まりを行っています。彼らは給料が低いうえに能力による昇給もないため,賄賂を受け取ることを目的に取り締まりを実施することもあるようです。

ベトナムでは公安の言うことは絶対ですので,逆らったりすれば罰金が上がっていったりします。観光客は賄賂の獲物として特に狙われやすいです。もし何の違法もしていないのに取り締まられた場合は,おとなしく罰金(賄賂)を支払うのが吉でしょう。

実際は,下の写真のようにゆるゆるとした雰囲気で取り締まりを行っています。(緑色の制服は機動警察です。)

イベントを見に来ています

官僚は自分勝手

私がベトナムに来て一番驚いたことは,官僚の態度が非常にぶっきらぼうなことです。街中のお店や学校の職員はみんなニコニコしていて穏やかなのですが,役所などの公務員は自分勝手です。実際に私が日本の免許をベトナム語に翻訳しようと役所に出向いた時の出来事をお話しさせてください。

 

Excuse me,
I’d like to translate my Japanese driver license into Vietnamese.
No!
….
Why?
Because I do another work!
Oh, so sorry…
Do you know where to go?
I “DO NOT” know!!!
Ok….

 

こうして初日は突っぱねられてしまいました。この数日後,他で問い合わせたところまた同じ場所を指定されました。そしてまた同じ女性がそこに居たのです。

 

Hi, I’d like to…
This.
(顎で書類を指す)
Do I have to fill in this form?
(無視)

 

という不毛なやり取りを30分以上も続けました。さらに,料金も不当に高く提示されました。しかし,その料金を払わないと欲しい書類が手に入りません。仕方なしに,高い料金を払いました。すると,何の説明もなくベトナム語で書かれたメモ用紙を渡されました。

 

バン!!
(目を合わさずに)

 

Googleで翻訳したところ「明日の15時にまた来い」という内容でした。そこで,翌日3回目になる訪問をしたところようやく書類が手に入りました。おそらく,初日の彼女は機嫌が悪かったから外国人である私の対応をしなかったのでしょう。超過料金も彼女の懐に入るのでしょう。このような役人さんの身勝手さはベトナム特有です。

報道の自由が少ない

言論の自由を主張するジャーナリストの集まり「国境なき記者団」が発表している報道の自由度ランキングでは,ベトナムは世界でもトップクラスに低いです。2018年現在ベトナムは180ヵ国中175位です。

日本は67位です。社会主義国である北朝鮮は180位(最下位),中国は176位,キューバ172位,ラオス170位となっており報道が自由とは言えませんね…。

 

最近は脱社会主義化の流れ

しかし,そんなベトナムも最近では脱社会主義化の流れを見せています。例えば,2013年にはベトナムを「民主共和国」に戻そうという憲法改正案が審議されていました。結局は見送られることになるのですが,脱社会主義化の第一歩を踏み出し始めているのです。他にも経済的な面でベトナムは資本主義経済化しています。

 

ベトナムの経済

以下でも,項目別にベトナム経済の社会主義的側面を探っていきましょう。

ドイモイ政策

ドイモイとは「刷新」の意を表します。つまり,ガチガチの社会主義体制を徐々に資本主義として刷新していこうという政策になります。具体的には,1976年以降ベトナムは食料配給制をはじめとしたガチガチの社会主義体制をとっていました。そのような中で,ドイモイの概念は1986年の共産党大会で提唱されました。そこでは

【ドイモイ政策の4本柱】
1.市場経済の導入
2.産業政策の促進
3.国際協調の推進
4.社会主義の緩和

の4本の柱が提示されました。この政策によって,個人や企業が土地を所有することが制限付きで許されました。また,ドイモイ政策の結果としてベトナムは1995年にASEANの仲間入りを果たします。

さらに最近では,外国人に対しても制限付きで土地の所有が認められました。しかし,貧富の差が拡大したり予想以上のインフレで貨幣価値が急落するなど,弊害も起こっています。

2018年9月現在,1円≒210VNDとなっております。これは例えば500円のコーヒーがベトナムでは約105000VNDということになります。

 

ベトナムに変革をもたらしたドイモイ政策ですが,実はこれらの方針は今もなお継続されています。

WTO

ベトナムは2007年にWTO(世界貿易機関)の正式メンバーに認められました。ベトナムは正式加盟後,公約に沿う形で国内外の貿易を改革していきました。その結果,非常に高い経済成長率を維持しています。(詳しくは後述)

FTA/EPA

FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)は,WTOで例外的に認められている協定になります。

FTAは関税撤廃に代表されるようなモノとサービスの自由化を目指します。EPAはFTAをベースにして知的財産や他の分野に関しても自由化を図ろうとする協定です。

 

ベトナムは,2007年のWTO正式加盟後に世界各国とFTA/EPAを結んでいくことでさらに経済を発展させていきます。

TPP

ベトナムは2016年にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加しています。

TPPもまた経済の自由化を図るために設立された太平洋周りの国による協定です。

 

様々な研究やニュースで言われていることですが,TPP参加により一番メリットがあるのはベトナムだと言われています。しかし,2017年には米国トランプ大統領がTPP離脱を表明するなど,雲行きが怪しくなっています。

徐々に資本主義化するベトナムに立ちはだかるのは,貧富の差拡大という問題です。TPP参加によりさらに経済を発展させていく一方で,格差問題にどのように対処していくかが問われます。

人口構成

ベトナムの人口構成は日本と真逆です。Populationpyramid.netによると,2020年のベトナムの人口ピラミッドは以下のようになります。

※白い部分がピラミッドです。

これを見て分かるように,ベトナムでは20~30代がボリュームゾーンになっています。今後の産業の発展に欠かせない「若さ」という要素では非常によい環境下にあると言えます。

また,ベトナムは現在でも経済成長率を非常に高く維持しています。

世界経済のネタ帳より

ちなみに日本はこんな感じです。

世界経済のネタ帳より

天然資源

ベトナムは「天然資源の宝庫」と呼ばれるほどたくさんの資源を有しています。例えば,油田開発による原油の生産も豊富です。他には,熱帯林地形を生かした森林資源,海沿い地域における水産資源,鋼や石炭などの鉄鋼資源などが豊富です。

しかし,Richard Autyが指摘するように,天然資源が豊富な国ほど経済発展が遅れる傾向にあります。

これを「資源の呪い」(resource curse)と呼びます。

 

実際にベトナムは2016年ごろから天然資源に頼らない経済成長を国の方針として打ち出しています。

暴落した貨幣価値

上でもお伝えしましたが,ベトナムの貨幣価値はドイモイ政策開始直後から暴落しています。近年は金融引き締めの効果もありインフレは落ち着いています。下のグラフは「1円=〇ドン(VND)」のグラフになります。1990年頃は50VND/円前後でしたが一時は270VNDまで上昇しました。

http://fxtop.comより

これは,ベトナムが貨幣価値の安定より経済発展を優先したことに起因します。貨幣価値の下落を食い止めるためには,金融引き締め政策が必要になります。しかし,お金の出回る量を少なくしてしまうと経済が回らずに発展を阻害してしまいます。

ベトナムはそこで経済発展を優先させてきたから,貨幣価値は下落し続けたということです。他の理由として,ベトナムが輸出に依存する国だからということが挙げられるでしょう。ベトナムは2017年度世界貿易依存度ランキングで3位となっています。(https://www.globalnote.jpより)

先ほどの天然資源が豊富という話にもつながります。また,ベトナムでは組み立て産業が中心なので輸出競争力が非常に重要になってくるのです。

 

輸出の競争率を上げるためにはドンの価値を下げればよいです。しかし,今まさに発展中であるベトナムでは生活水準の向上により輸入量は増加してしまいます。ドンの価値を下げたのに輸入量が増加するとどうなるでしょうか。

赤字になりますね。

赤字になってしまえば,輸出で稼ぐためにさらにドンの価値を下げざるを得ません。このような悪循環で,次第にドンの貨幣価値が暴落していったのです。

拡大する所得差

社会主義を標榜しているとはいえ,ドイモイ政策以降は経済発展を優先させてきたベトナム。土地の所有も部分的に認められており非常に資本主義経済らしくなってきました。

そうなると,やはり貧富の格差は拡大していく一方です。たとえばコーヒー1杯の値段にしても,50円で売る店から500円で売る店など様々です。他にも,たとえばこの写真。

カオスな街並み

私がベトナム留学中に撮った写真です。奥に見えるのはダナンの市庁舎です。手前には古びた柵がみえますね。こんな風にベトナムでは華々しい成長のシンボルと資本主義の象徴である貧困層というのが混在しているカオスな国なのです。

 

まとめ

ベトナム社会主義共和国がどのような国なのかイメージが湧きましたか。ベトナムのよいところは目まぐるしい成長を眼の前で感じることができる点です。また,社会主義国家という世界でも有数の制度を体感できます。

 

まだベトナムに行ったことない!

 

という方はベトナムが成長しきってしまう前にぜひ訪れてみてくださいね!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です