皆さんはベトナムの宗教は何か知っていますか。私も実際にベトナムに留学していたのですが,実際に暮らした印象は
というものでした。ベトナムでは,クリスマスを祝ったりもしますし,ましてやタイのように僧侶が町中を歩いていることもありません。ベトナムは本当に仏教の国なのでしょうか。そこで,この記事ではベトナムの宗教についてまとめます。その後,太陰暦とベトナム人の暮らしについて紹介していきます。
ベトナムの宗教と太陰暦の関係についてお伝えしていきます。
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ベトナムの宗教の割合
2014年の公式の発表ではベトナムの宗教は以下のような分布になっています。
●Vietnamese folk religion:約70%
●Buddhism:約10%
●Catholicism:約7%
…
日本語に翻訳します。
●民間信仰:約70%
●大乗仏教:約10%
●カトリック:約7%
…
ということになります。実は,ベトナムで一番多くの人が信仰している宗教は仏教ではなく民間信仰だったのです。次に大乗仏教,カトリックと続きます。たしかに,ベトナムを歩いているとたくさんの仏像を目にします。このことから,ベトナムでは仏教が信仰されていることも分かります。他にも,観光客がよく目にする大聖堂はカトリック教会の名残であることが多いです。
しかし……
となりますよね。そこで以下では,まず民間信仰についてお伝えしていきます。
ベトナムの民間信仰
ベトナムには様々な民間信仰がありますが,その中に「聖母道」というものがあります。
聖母道
聖母道は19世紀頃から存在していると言われています。「聖なる母の道」と書くように,聖母道では母親を大切にします。ここで言う母親というのは,必ずしも遺伝的な母親を指すのではなく,大地や自然のことも指します。つまり,聖母道では全てのモノに魂が宿っていると考えます。
「道」という名がついているのは,中国から伝わった「道教」が関わっているからです。つまり,聖母道はアニミズムと道教をもとにして独自に形成された信教なのです。
聖母道では,それぞれの聖母に対して神がいて計60人の神がいます。ベトナムの文化とも結びつきが強く,2016年にはユネスコ無形文化遺産に認定されました。
太陰暦
実際にベトナムに旅行すると太陰暦に基づいて生活を営んでいる人を見かけることが多いです。
ベトナムでは太陰暦で新月と満月の日にお供え物を出します。
こんな感じです。家によってお供え物の種類が違ったり,お線香でお祈りを捧げていたり様々です。
さて、太陰暦とは月の満ち欠けによって1か月を定める暦のことでしたね。ですので,太陰暦で新月と満月というのは毎月1日と15日になります。
それだけでなく,人にはよりますが新月と満月の日には「菜食の日」としてお肉は食べない場合もあります。ですので,太陰暦で民間信仰していてお肉を提供しているお店は休業することもあります。
ちなみに、休業ではなくお店のメニューがベジタリアン向けになることもあります。私もはじめて「菜食の日」を経験した時は
となりました。みなさんもベトナムへ行かれる際にはぜひ太陰暦を意識して予定を立ててください。もちろん太陰暦のお祝いを採用していないご家庭やお店もあります。
ベトナムの仏教は「大乗」仏教…?
ベトナムで信仰されている仏教は大乗仏教と呼ばれ,日本と同じ仏教に分類されます。
はい。仏教と言っても非常にたくさんの宗派が存在し,定義することは難しいので分かりやすさを重視して簡単に説明していきます。まず仏教は2種類に分けられます。
①大乗仏教
②上座仏教
それぞれの違いは以下の通りです。
①教えに寛容で他者を救う
②教えに厳格で自分を救う
たとえば,日本で仏教を信じており悟りを開くために修行する人は少ないでしょう。それは、大乗仏教が教えに寛容だからです。それに対して,タイやミャンマーでは修行中の僧侶や瞑想している僧侶も見かけます。これは、上座仏教が教えに厳格だからです。
これらの見方でいうと,ベトナムでは比較的「ゆるめの」仏教を信仰しているということになります。詳しい違いについてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ベトナム=仏教のイメージが強かったと思われますが,実際の暮らしはそこまで仏教に根付いているものではなくそれぞれが自由な信仰をしているのです。ベトナムの宗教について知っておくことで旅行中や留学中に気付くことが増えてより楽しめるはずです。ベトナム人の暮らしもまた違った視点で眺めることができるでしょう。