理系大学院を目指される方は、このような状況に陥った経験はありませんか?大学の数学は「微分積分」「線形代数」「確率統計」「ラプラス変換」……などなど、学ぶべき範囲が非常にたくさんあります。ですので、全てを頭から理解しようとするととんでもない労力が必要になります。
そもそも、大学の教授ですら教科書の「隅から隅まで」全部しっかり理解しているわけではないと思います。ですから、我々は重要なポイントさえおさえていればOKなのです。そういった意味で「本当におさえておくべきポイント」が書かれた参考書というのは見つけることは難しいです。私自身、自分にあった参考書が見つからず何冊も何冊も「手を出しては挫折」を繰り返していました。
そしてなんと、挫折を繰り返した末、ようやく理想的な参考書に巡り会えたのです。まさに「本当におさえておくべきポイント」が書かれた本でした。そこで、この記事では私が大学院入試で使用したイチオシの数学参考書を紹介していきたいと思います。
数ある参考書の中で,使って本当に良かった数学の参考書を1冊紹介します。
大学院入試問題<数学>大学数学の理解を深めよう
1.数え上げと整数
2.線形代数
3.微積分
4.微分方程式
5.複素関数
6.ベクトル解析
7.ラプラス変換
8.フーリエ変換
9.確率
見てわかる通り、ほとんどの分野が網羅されています。さらに、この問題集の最高な点として、問題演習がAレベルとBレベルで分かれていることが挙げられます。
さらに,問題の解説が非常に詳しいです。普通、大学の演習書というと解説がついていないことが多いですよね。そのような中で、本書のように解説が丁寧で問題量も豊富な演習書はなかなか発見できないでしょう。
この参考書で特筆すべきは、筆者の毒舌ともいえるほどの的確で本質をとらえた指摘です。少し引用してみますね。
固有値の定義が分かっていれば解ける問題である。ところが、実際に口頭試問などで受験生に質問してみると、固有値と固有ベクトルの定義が正確にいえる者は案外少ない。「正方行列Aの固有値の定義は何ですか」と問うと、「特性方程式φA(t)=0の根です」という答えが返ってくることがあるが、これは(かなり善意に解釈したとしても)「定義」とは言い難い。このような受験生は、しかし、往々にして、例題2.1のような対角化の問題をすらすら解くことができる。これは、その受験生が、対角化の問題の「魔法」を一つの「手続き」として身につけていることを示唆する。固有値が何物であるかは知らなくても、それが計算できればよいーーーこのような便宜主義的な態度によって身につけた知識は、残念ながら、非常に脆弱である。
(「大学院入試問題<数学>大学数学の理解を深めよう」より)
どうですか?非常に魅力的な文章ではないですか?こんな本質的な部分まで踏み込んだ参考書は、他にはないと思います。
しかし、この問題集にも1つ欠点があります。この目次を見ると、ほぼすべての数学の範囲が網羅されているように見えますが、実は「確率・統計」の分野だけ問題量が少ないのです。ですので、「確率・統計」に関しては別の参考書で演習を重ねる必要があります。「確率・統計」に関して、おすすめ参考書はコチラの記事をご覧ください。
本書は,大学院受験者だけでなく大学数学をザっとおさらいしたいという人にもおすすめの参考書になっています。しかし、こちらの本で全ての範囲を1から学習するのは難しいです。
という方はコチラの記事をご覧ください。
まとめ
大学の数学は、高校までと違って全国指定の教科書がありません。そのような状況で、いかに自分にあった参考書をみつけ信じぬいて勉強するかが、結果に結びついてくると私は考えています。
その一助としてこのサイトを利用してくれたら光栄です。皆さまのご健闘をお祈りしています。他のおすすめ参考書に関しては、こちらをご覧ください。