本記事は教養記事シリーズその19です。その他の教養記事はコチラの目次をご覧ください。
定義は?
現在の状況は?
冷戦とは
まず最初に,冷戦とは何かを「おかたい」言葉で説明します。冷戦というのは主にアメリカを中心とする資本主義陣営とソ連を中心とする社会主義陣営の対立を指しており,ヤルタ会談が行われた1945年からマルタ会談が行われた1989年までの期間を表しています。
そこで,以下では冷戦とは何かをかみ砕いて説明していきたいと思います。まずは,主な内容をまとめておきます。
ヤルタ会談とは
マルタ会談とは
冷戦を分かりやすく説明すると…?
資本主義と社会主義
まずは,資本主義陣営と社会主義陣営が対立する理由からお話ししていきます。そのためには,国家経済のしくみがどのように発展していくかを考える必要があります。一般的に,国の経済は王や貴族が支配するシステムから,資本家が革命を起こして政権を握るという流れになります。
その結果として資本主義国家が誕生します。しかし,資本主義を掲げる国では経済的な格差が出てきてしまうことが問題となります。また,労働者階級の人々への扱いもひどく,様々な権利も無いような状態でした。そこで,労働者階級の人々が結集して革命を起こすことにより,どのような階級の人々もみな平等に暮らせるような経済システムがとられるようになります。これにより社会(共産)主義国家が誕生します。
このような成立背景をもつ資本主義陣営と社会主義陣営が対立するのは,ごく当然のことだと考えられます。資本主義国家は資本をもつ限られた人々が経済の舵を切っていくシステムであるため,極端に言うと労働階級の人々を道具として扱います。一方,社会主義国家は資本家を敵として労働階級の人々も含めて平等な国家を理想としています。お互いがお互いを敵としてとらえている以上,対立は避けられない問題なのです。
ヤルタ会談とは
第二次世界大戦が終わる直前に行われた「アメリカ」「イギリス」「ソ連」の三国による終戦後の世界に関しての話し合いをヤルタ会談と呼びます。ヤルタ会談では,資本主義陣営であるアメリカと社会主義陣営であるソ連のどちらが世界的なリーダーシップを取るのかで対立が起きました。この対立こそが,武力を行使しない戦いということで冷たい戦争(冷戦)と呼ばれているのです。
マルタ会談とは
冷戦の終結は,ソ連の共産党書記長にゴルバチョフが就任したことがキッカケとなって進んでいきました。ゴルバチョフ氏は落ち込んでしまった社会主義経済を立て直すためにペレストロイカと呼ばれる革命運動を行いました。その結果,東ヨーロッパにもそのような運動の気風が広まり,ドイツを分断していたベルリンの壁の崩壊に至ります。ベルリンの壁が崩壊したすぐ後に,アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ氏がマルタで会談を行い,冷戦の終結が宣言されました。
易しい言葉でまとめると
冷戦とは何か,という問いに対して分かりやすい言葉でまとめるとすると「経済を支えるしくみが異なる2つのグループが武力を直接行使しないで敵対関係にある状況」となります。上でもお伝えした通り,極端に言えば「資本家が牛耳る世界」vs「全国民平等を目指す世界」の対立です。武力は行使しないものの,経済制裁や代理戦争などが行われてきた事実も存在します。
現在の状況は?
冷戦が終結した後は,資本主義国家は社会主義の考え方を部分的に取り入れながら経済を発展させていき,社会主義国家は資本主義経済を導入することで経済を立て直していきました。特にヨーロッパではEUが設立されました。加えて,近年では貿易赤字をめぐる貿易戦争も行われており,武力を行使しない中で世界各国が争いを続ける社会が続いています。