留学経験者であれば分かると思うのですが,留学をするとこのような質問をよくされますよね。そう聞かれるたびに,私は思っていました
もちろん,私が留学をした理由はいくつもありますが,私は留学には理由が必要っしょという風潮があまり好きではありませんでした。そこで,この記事では「留学に理由は必要か」に対する私なりの答えをお伝えしたいと思います。
「留学に理由は必要なのか」について考えをまとめていきます。
3種類の留学
「手段」と「目的」
フリーライダーとファーストペンギン
バカにされるのは挑戦する者
選択するということ
留学の種類
私は留学には3種類あると考えています。1つ目は「①スキルアップのための留学」です。これは
といったような留学です。
2つ目は「②経験のための留学」です。これは
などが該当します。
3つ目は「③感情の結果としての留学です。これは
のような留学を指します。ほとんどの人は①に当てはまるのではないでしょうか。私がこの記事で主張したいことは,どの種類の留学が良いのかではなくて,どの種類の留学でも立派な理由が存在しているということです。②や③でも全く恥ずかしくはありません。
また,私自身理由は後付けでもよいと思っています。周りに迷惑をかけず,経済的に可能な見立てがあるのであれば,とりあえず行動してみることこそ重要なのではないかと考えています。そのためには,行動した結果を「正しい選択」とするように価値を見出していくことが必要になってきます。
留学の種類と理由
わたしの考えでは3種類の留学それぞれにちゃんと理由があります。「スキルアップのための留学」の目的はよりよい教育を受けて自分のスキルを向上させるためでしょう。「経験のための留学」の目的は,日本とは違った環境に身を置くことで積極的にインスピレーションを受けに行くということでしょう。「感情の結果としての留学」の目的は,本能的な感情の現れとして「○○(感情)だから」ということでしょう。
これだと恐らく
なんて怒り出す人がいるかもしれません。たしかにその通りです。なぜなら,「スキルアップのための留学」では理由がネクストアクションに結びついていました。つまり,留学が手段になっているのです。対して,「経験の留学」「感情の結果としての留学」では,理由が次の行動に繋がっていません。つまり,留学が目的になっているのです。これでは,本末転倒でしょう。
……。
本当に本末転倒でしょうか?
フリーライダーとファーストペンギン
現代の魔術師こと落合陽一氏はTwitterでこのようなことをつぶやいていました。
手を止める理由はいくらでも見つかるけど,まずその風潮を破壊しないと.近代生産性を支え,フリーライダーが得をした同質教育から全員がファーストペンギンの飛び込み教育にしないと.
落合陽一/Twitter/2017.5.14
落合先生の意図する内容を根こそぎ落としてしまいますが,要約すると「行動しろ!」ということになります。ちなみに,フリーライダーとは美味しいとこ取りをするメンバーのことを指します。
ある集団がメンバー同士の貢献によって付加価値を産み出すとき、自分は何も貢献せず、他のメンバーに貢献させておいて、得られた付加価値の恩恵にはあずかる人のことを、集団の利益に“タダ乗り”する人という意味で「フリーライダー」といいます。本来は社会学や経済学などで使われる学術用語ですが、近年は会社組織においても、高い給料をもらっていながら怠けてばかり、他人の成果を横取りするなど、“会社に貢献する以上に会社から利益を得ている社員”を指して、フリーライダーと呼びます。
人事労務用語辞典より
現代の社会では,自分だけが得をするような生き方をする「フリーライダー」がたくさんいます。逆に,そのような考え方の人々が得する社会こそ同質教育であると言えるのでしょう。ファーストペンギンとは,リスクを恐れずに果敢にチャレンジする人を指します。
「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。
人事労務用語辞典より
次世代の生産性のカギを握るのはファーストペンギンです。同質教育の支配下ではブレイクスルーは起きません。本当に価値を生み出し,社会に良い影響を与え,結果として幸せな人を増やしていくのは最初に挑戦した者なのです。
大きな一歩の妄想より眼の前の一歩の集中
文芸評論家の小林秀雄氏は次のような指摘をしています。
眼の前に一歩を踏み出す工夫に精神を集中している人が、馬鹿と言われ、卑怯と言われながらしまいには勝つであろう。
小林秀雄「文芸批評の行方」より
主張の本質は落合先生と変わりません。一番の罪なのは,やらないことです。一番簡単なのもやらないことです。そして,一番馬鹿にされるのも眼の前の一歩を頑張って踏み出そうとしている人なのです。
最もらしい理由はあったほうがいい
しかし,だからと言って理由もなしに留学するべきではありません。留学には最もらしい目的があったほうが留学から価値を抽出しやすいからです。ファーストペンギンになるのは偉いことですし,眼の前の一歩に集中することも必要なことです。しかし,それらの行動からなにも(社会的)価値を出せなければ意味がないのです。
ここで主張したいのは,留学からの価値の出し方は人ぞれぞれですし,時間もそれぞれです。一番いけないのは,いつまでたっても価値を出そうとせずに,「いつかは出るはず」と希望的観測をする人です。
選択するということ
Don’t make the right decision.Make the decision right.
By Adam Grant
有名な名言ですが「正しい選択をするのではなく選択を正しいものにするのである」とでも訳しましょうか。みなさんは留学という「選択」をするわけですね。そこで「正しい」留学を選ぶわけではありません。どんな理由でもいい。正直,理由もなくていい。選んだ留学を正しい選択だったと言えるように価値を見出していくことが大切なのです。
この記事が,留学を迷う学生の背中を押す一助になれば幸いです。