この記事では,私がベトナム留学中に感じたことや考えたことをお伝えしていこうと思います。本記事は<Part13>になります。このシリーズは全部で<Part20>まであるので,以下の記事で目次をまとめています。ぜひ参考にしていただければと思います。
これらのシリーズは,以下のような人を対象とします。
ベトナムがどんな国なのかを知りたい人
ベトナム留学でどんな経験ができるのか見てみたい人
日本と比べてベトナムがどう違うのか知りたい人
苦労したことや楽しかったことを知りたい人
[その41]〝外国語カフェ〟という喫茶店
ベトナムには多くの外国語カフェがあります。外国語カフェというのは,何かしらの言葉を学びたい人が気軽にスピーキングを練習できるようなコミュニティのことです。たとえばこちらの喫茶店は「イングリッシュカフェ」になっています。
入口を入ると,たくさんの外人さんが談笑しているのが目に入ってきます。そして喫茶店の中では,全員が英語を使っているのです。私が行ってみたときには,バックパッカーのアメリカ人やダナン在住のイギリス人,英語がペラペラのベトナム人など本当に多種多様な人々でいっぱいでした。
システムとしては,自由にテーブルに座って会話を楽しむというものです。別に怪しい店ではないので,基本料金のようなものは取られません。いたって普通の喫茶店が多国籍化したようなイメージです。しかもそれだけでなく,定刻になると英語を母国語とする方の面白おかしいスピーチを聞くことができます。
客も参加型のスピーチなので,非常に楽しめながら聞くことができます。ベトナム人以外の友達もたくさん作ることができます。まさにエキゾチックな場所で,異国感たっぷりのスポットです。
他にも私は「日本語カフェ」なるものに招待されたことがあります。そこでは,日本語カフェらしくたこ焼きやたい焼きが売られています。店長さんは日本語ペラペラでした。
ここで気付いたことなのですが,ベトナム人の日本語人気は非常に高いです。友達によると,第二外国語として日本語を選択する人が多いとのことです。ベトナム人による日本語はオフショア開発などで「日本語⇔ベトナム語」の意思疎通が課題とされている現在,かなり需要のある能力なのではないでしょうか。オフショア開発についてはコチラの記事をご覧くだい。
恐らく日本にも外国語カフェのようなものは存在するのだとは思いますが,手軽に外国語を話せる環境があるのは非常にありがたいと感じました。
[その42]ダナン在住日本人のつながり
私は留学中にたくさんの日本人と会いました。それも旅行者ではなくて,ダナン在住者です。留学中に私はよく喫茶店でベトナムコーヒーを楽しみながら大学の課題をしていました。そんなある日のことです。いつものように喫茶店で課題をしていると,1人の男の方が声をかけてきました。
当時私は1か月ほど日本語を使っていなかったので
というような英語か日本語か分からない返事をしてしまったのを覚えています。話を聞いてみると,どうやらその方はダナンで日系会社を経営されている社長だということが分かりました。なんという幸運でしょう。なかなか外国でお仕事をされている社長さんなんかにお会いできる機会なんてありませんよね。喫茶店では名刺をいただいて連絡先を交換してお別れしました。
そしてその夜のことです。突然社長さんから電話がかかってきて
とお誘いをいただけたのです。こんなチャンスはないと思い一つ返事で
と言って居酒屋まで「Grab」で向かいました(Grabについてはコチラの記事をご覧ください)。その居酒屋でもたくさんの日本人の方と出会いました。
と思わされました。出会った日本人の方々は非常に経験豊富な方々が多く,ボランティアでベトナムの教育支援をされている方やダナンでバーを経営している方々でした。会社経営の極意や経験談など,タメになるお話も聞けました。そしてなんと,当時私は留学後半戦に向けて住む家探していたのですが,なんとその方々のご協力で家を探してくださることになったのです。ダナン在住日本人の心強さと言ったら半端じゃありません…。その方々曰く
らしいです。素敵な恩返しの連鎖です。私も留学中に恩を返さなくてはと身が引き締まる思いがしました。
[その43]ベトナム人にとっての免許証
私はいつも友達のバイクに乗せてもらってサッカーコートまで移動していました。そんなある日のことです。いつも連れて行ってくれていた友達から衝撃の一言が。
……。
ベトナムは無免許運転が当たり前の世界です。当然,無免許は法律違反なのですが,社会主義国家で公安(警察)が強い権力を持っているので賄賂を渡せば,たいていは何とかなってしまうんです。なぜならば,公安にとっても賄賂を受け取るほうが稼げるからです。
ですが,実際にはベトナムでのバイクの量は公安が取り締まれる範囲を超えています。たまに交通警察がバイクを取り締まっているのを見ますが,対象のほとんどが外国人ですね。外国人はベトナムの交通ルールを知らないことが多いのでターゲットにされるのでしょう。公安も,よりたくさんの賄賂を受け取ることができますしね。友達の衝撃の告白以来,私は現地の友達の後ろに乗せてもらうときは
と確認するようになりました…。
[その44]貧困層への想い
私がベトナムで衝撃を受けたことの一つです。この何気ない上の写真についてなのですが…。パンが置いてあるのが見えますか?このパン。実は,ホームレスの方に向けたパンなんです。
写真奥に見切れている洋服屋のオーナーさんのご厚意で用意されているとのことです。ベトナムでは,このような貧困層の方々に向けて救いの手を差し伸べるような取り組みをされる方がいるのです。
他にも。ベトナムのローカルフードでご飯を食べていると,よく「飴ちゃん」を売りにお爺さんやお婆さんが話しかけてきます。普通ベトナムであれば,飴やガムなどは10円もせずに買うことができます。しかし,お爺さんやお婆さんが提示する金額は200円などです。
明らかにぼったくりですし,衛生面も気になります。しかし,ベトナム人の中にはお爺さんやお婆さんから積極的に飴やガムを購入する人もいるのです。なぜか。お爺さんやお婆さんの生活を支えるためです。最初の頃,私は
と思っていました。お爺さんやお婆さんの中には買うまでしつこく交渉してこられる方もおられます。ずっと周りにいられても困る。そんな動機で飴を買うベトナム人もいるようです。このようなことを聞いてから
と妙に納得したことを覚えています。貧困層が今でも多くおられるのは部分的に社会主義経済を採用しているからでしょうか。ベトナムでは,社会主義国家であるはずなのに政府側からの貧困層へのアプローチはほぼないように思えました。町中でゴミ箱をあさるお爺さんお婆さんもおられる程です。
実際に政府の人々はこのような状況を見て,何を感じ,何を考えているのでしょうか。ベトナムで公に政府を批判することは法律で禁じられています。私は聞くに聞けず,モヤモヤとした時間を過ごしていました。現地の友達は,貧困層の方々のために飴を買ってあげたり宝くじを買ってあげたりしています(飴の代わりに売っている場合もあります)。ベトナム特有の貧困層とのやりとりから感じることはたくさんありました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では外国語カフェの話から始まり,在住日本人、免許証,ベトナム貧困層のお話までしました。特に,在住日本人の体験は私になかった視点でした。やはり誰しもが海外での生活では苦労することが多いです。ですので,海外では既に様々な経験をしている在住日本人の存在が非常に大きいんです。
そして,最も大切なのが与えられた感謝は返すべきだということです。もちろん,ギブ&テイクを前提としたコミュニケーションしようと言っている訳ではありません。助けてもらった感謝は最低限他の人に返す義務があると私は考えています。義務、というより返さずにはいられなくなってくるんです。
海外で助けられるとそれだけ「ありがたい」という気持ちが大きいんです。感謝の輪という言葉がありますが,人を動かすのは根本的に感謝なんだと感じています。見返りを求めない無償の愛をどれだけ周りに与えることができるか。そんなことを考えるきっかけを与えてくれたベトナムでの生活は有意義だったなと感じています。