本記事は教養記事シリーズその7です。その他の教養記事はコチラの目次をご覧ください。
森友学園って?
何が問題なの?
今はどういう状況なの?
森友学園とは?
森友学園というのは,大阪市淀川区で幼稚園を運営する私立の学校法人です。「森友学園」という学校があるのだと勘違いしてしまう人が多いのですが,森友学園はあくまでも法人の名前です。その歴史は古く,1950年に塚本幼稚園が創立され,1971年に学校法人森友学園が設立されました。
森友学園の教育方針は特殊で,愛国心を育むという目的で教育勅語を暗唱させているとのことです。実際,産経新聞は2015年に塚本幼稚園は愛国幼稚園だとする報道をしています。他にも,運動会で「安倍首相頑張れ」という選手宣誓をしたことに対し小泉進次郎氏は「ちょっとあれ異様」と述べています。(神奈川新聞[2017年3月5日])
今回問題となっているのは,森友学園が大阪府豊中市に「瑞穂の國記念小學院」という私立小学校を開校しようとしていたことに関連します。新しく小学校を作るときに何が問題になったのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
何が問題なのか
それでは,森友学園問題の具体的な内容に入っていきます。まず大きな問題として挙げられるのは以下の4点です。
●国有地の値下げ
●安倍首相との関係
●補助金詐欺
●財務省の決裁文書書き換え
国有地の値下げ
瑞穂の國記念小學院の設立が予定されていた土地は国有地でした。つまり,国が保有している土地を買い取って小学校を開校しようと予定していたのです。ところが,国有地の買取の際に事件は起こりました。
森友学園の元理事長である籠池氏は,買い取りたい土地の下にゴミが大量に埋まっているからという理由で大幅な値下げ交渉を行ったとされています。その額は約8億円にものぼります。もともとは10億円程度した土地ですので,近くの土地と比べると10分の1程度の価格で取り引きしていたということになります。国有地は国民の土地ですので,不当な値下げは国民にとっても不利益になってしまいます。
籠池氏によると,深さ3m以下の場所に2万tのゴミが埋まっており,そのゴミ処理に8億円の費用が必要だったといいます。しかし,これらの一連の流れにはいくつかの問題点があります。
●国は土地のゴミを確認していない
●ゴミ処理費用が8億円必要であることも確認していない
●実際に8億円かけてゴミ処理をしたかも不明
安倍首相との関係
2017年9月に森友学園問題が報道されたとき,同時に「安倍昭恵氏(安倍首相の妻)が小学校の名誉校長となっている」とも伝えられました。つまり,安倍首相もこの事件に関わっているのではないかという疑いがかけられたのです。実際に,安倍晋三記念小学校という名目で寄付が集められていたことや100万円を寄贈したこと,昭恵氏が幼稚園で公園を行ったことなどが報道されています。
補助金詐欺
森友学園は,小学校の建設費を以下のように虚偽申請していたとされています。
●国土交通省に23億8464万円
●大阪府私立学校審議会に7億5600万円
●大阪府建築振興課に15億5520万円
国土交通省に申請した額が最も高いのは,補助金目当てだったとされています。結果的に,森友学園は5640万円の補助を手に入れています。
財務省の決裁文書書き換え
財務省が参議院に森友学園の決裁文書を提出する際に,内容を大きく書き換えていたことが2018年3月に判明しました。具体的には,14文書に渡って書き換えが行われ,複数の国会議員の名前が消去されていただけでなく,昭恵氏に関連する箇所も削除していたとのことです。それだけでなく,安倍首相や麻生財務相に関する記述も削除されていたとのことです。
現在の状況
森友学園の補助金詐欺問題をめぐる初公判が2019年3月6日から始まりました。
籠池被告は「検察官の主張は事実に反する。国策捜査は許されない」と訴え、起訴内容をほぼ否認。諄子被告は「補助金の申請に関わっていない」と無罪を主張した。
毎日新聞[2019年3月6日]
公判は計15回開かれ,10月30日に求刑が行われるとのことです。
他よりもとてもわかりやすかったです