時代の流れが早すぎて最新のIT技術に追いつけなくなってしまったわ…。
言葉だけは聞いたことあってもしっかり説明できないんだよなあ。
本記事では,最新のITトレンドについてお伝えしていきます。基本的に,『図解 コレ1枚で分かるITトレンド』を参考にして,簡単にまとめていきたいと思います。目標としては,この記事を読むことでIT系の情勢を簡単に理解できるようになり,非情報系の人に頻出用語を説明できるようになることです。(本記事は「3分」では読み終わらないかもしれません…。ご勘弁願います。)
以下が原著の書籍になります。なお,以下で使用するスライドは,本参考書籍のロイヤルティフリー素材です。
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デジタルトランスフォーメーション
こちらの記事でもお伝えしている通り,DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質は「オフラインとオンラインの境界を曖昧にする」という点にあります。決して,ITを使って仕事効率化をしよう,という単純な話ではありません。それは,ビフォアデジタルの考え方です。
もちろん,仕事効率化もDXには含まれます。しかし,本当のDXはもっと先を見据えています。ITが浸透することで,人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることをDXと呼びます。
3つのフェーズ
DXには上記のような3つのフェーズがあります。私たちが目指すべきなのは第3フェーズです。業務とITがシームレスに,境界を曖昧にして連携するような仕組みが理想とされています。
DXがもたらす価値
DXをすることで,企業は「変化への即応力」と「破壊的競争力」を得ることができます。生活のあらゆる面をよくするこで,競争力が上がります。また,オンラインとオフラインを柔軟に連携させることで,モデルの変化への適応力を高めます。
DXを支えるテクノロジー
DXは,様々なテクノロジーによって支えられています。まず,土台として「アジャイル開発」「DevOps」があります。続いて,ネットワーク基盤に5Gがあり,収集されたデータを活用するための技術として機械学習があります。
DXのフロー
DXは上記のサイクルを回すことで浸透していきます。デザイン思考は,こちらの記事で詳しく説明しています。リーンスタートアップで短期間の開発を行い,アジャイル開発とDevOpsによって柔軟な運用を行います。そして,受けたフィードバックなどをもとに,再びデザイン思考から始めるというサイクルです。
デジタル化とDX
デジタル化は,付加価値を創出しようというビフォアデジタルの考え方です。一方,DXはユーザー目線での体験価値を高めようというアフターデジタルの考え方です。
IoT
「デジタル・データで現実世界を捉え,現実世界を最適化するしくみ」のことをIoTと呼びます。狭義には「モノに組み込まれたセンサーでネットワークにデータを送る仕組み」のことを指し,広義には「データを収集・分析・活用して価値を生む仕組み」のことを指します。
IoTの価値
IoTがもたらす価値は「モノ同士の繋がりによる全体最適化」「クラウドとの連携」「処理のリアルタイム性」です。モノ同士が繋がって協調することで,モノが個別に存在していた従来よりも全体として最適な世界を実現することが可能になります。また,クラウドを利用することで,データ処理の面において多くの容量や処理能力を利用することができます。また,周囲のモノがネットワークに繋がることでリアルタイム性を実現することができます。
モノのサービス化
IoTとは「デジタル・データで現実世界を捉え,現実世界を最適化するしくみ」でした。現実世界のデジタル・データ化をするシステムをCPS(サイバーフィジカルシステム)と呼びます。CPSでは,モノがシステム全体として価値を持つようになります。従来は,ものづくりの現場ではハードウェアを設計・生産することがメインでしたが,これからは身の回りのあらゆるものがソフトウェアで置きかわり,ネットワーク上で相互に繋がり合うことでサービス化していきます。
エッジコンピューティング
IoTは3層構造になっています。「モノ↔︎クラウド」の間に「エッジコンピューティング」が挿入されます。エッジコンピューティングでは,クラウドに送り出すデータを選別したり,制御したり,セキュリティリスクを軽減したりします。
セキュリティ
IoTは比較的前から知られている概念ですが,最近では特にセキュリティ面が懸念されています。上図のようなセキュリティガイドラインが公開されています。私としては,特に指針2の「IoT」のリスクが大切だと感じていますが,抽象的すぎて何を気をつければ良いのか分かりませんよね…。ネットワーク上での対策などは,既存のセキュリティ手法が利用できそうです。
インダストリー X.0
IoTを含むようなシステム変革は「第四次産業革命(Industry4.0)」と呼ばれることもあります。第一次産業革命から,それぞれ「機械化」「効率化」「自動化一元管理」「最適化」となります。日本は,現在第2.5次産業革命にいるといえます。というのも,自動化は進められているものの,情報管理システムは一元化されていない場合が多く,いまだに個別最適化されて連携するに留まっているからです。これからは,Industry4.0のみならず,それ以降のIndustryX.0を見据えてIoT化を行なっていく必要があります。
AI(人工知能)
「人間が行う知的作業をソフトウェアで実現する技術や研究」のことをAI(人工知能)と呼びます。
AIはデータから導き出したい出力を「学習」して,実際の現場では得られる情報から「推論」することで運用されます。この学習と推論をクラウドで行うのか,デバイス側で行うのかは臨機応変に切り替える必要があります。クラウドでは,大規模な処理や計算を行うことができますが,リアルタイム性に欠けます。一方,デバイス側では小規模な処理しかできない代わりに,リアルタイム性を担保できます。
AIの活用方法
AIは主に3種類の活用方法があります。1つ目は「自然言語の理解」です。人間の言葉を理解するAIは,オンラインとオフラインの境界を曖昧にして,アフターデジタルを実現させる手掛かりになります。2つ目は「仮説設定」です。ビックデータから規則を見つけ出すことで,人間だけでは気づかなかった部分に着目することができます。3つ目は「自律動作や判断」です。状況や変化を読み取ることで,自律的に最適解を発見することを指します。自動運転技術などが該当します。
人間に求められる能力
現時点のAIでは,問題を作成する能力や,AI自身を使いこなす能力,そして結果を解釈する能力は持ち合わせていません。そのため,これらの能力は人間が担う必要があります。AIに仕事が奪われる,という主張はよく聞きますが,これらの背景を知っていれば,私たちが何をするべきなのかは少しずつ見えてきます。
ITインフラ
最新のITインフラは,インフラ基盤を「ソフトウェア化」した上で「仮想化技術」を用いることで実現されています。
コンテナ
ITインフラの歴史的な変革を振り返ってみると,現在は「同じOS上で動く仮想的な環境」を利用しています。これを可能にするのが「コンテナ」という技術です。
Docker
Dockerは,コンテナを管理するソフトウェアです。Dockerはコンテナを生成する設定を周りと共有できるため,ITインフラとして広く普及しています。
仮想化の種類
仮想化技術には,上図のような種類があります。デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化は,ユーザに近い部分で仮想化を実現します。また,クライアント仮想化は,コンテナとは発想が逆で,1つのクライアントPC上に複数のOSを同時に稼働させるための技術です。ストレージ仮想化は,ハードウェアの物理的な制限や制約から解放するために使われる技術です。ネットワーク仮想化は,従来個別に設定していたものを,ソフトウェアによる管理を可能にするための技術です。
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングは「コピュータの機能や性能を共同利用するためのしくみ」のことを指します。DXやIoTと非常に相性がよく,これからも頻繁に耳にする言葉になるでしょう。クラウドは,自前でコンピュータ設備を持つ必要を無くし,遍在する資源を利用できるようにしたことで,オンラインとオフラインの境界を曖昧にするアフターデジタルの実現に寄与します。
クラウドサービスの区分
クラウド事業者が管理するレイヤーによって,クラウドサービスは分類することができます。レイヤーは,上のようなものが挙げられます。より単純には「アプリケーション」「ミドルウェア+OS(プラットフォーム)」「インフラ」の3層にモデル化されることもあります。SaaSはクラウド事業者がアプリケーションまでを管理し,PaaSはプラットフォームまでを管理し,IaaSはインフラまでを管理します。
ハイブリットクラウドとマルチクラウド
ハイブリッドクラウドは,プライベートクラウド(個別企業専用)とパブリッククラウド(複数企業共用)を組み合わせたクラウドの運用方法です。マルチクラウドは,クラウドのサービスを組み合わせて利用する運用方法です。例えば,amazonのAWSやGoogleのGCPを組み合わせて利用します。
クラウドの5つの特徴・価値
クラウドを利用することには,上図のような価値が挙げられます。
開発と運用
以上で出てきた概念は,以下の図のようにまとめることができます。
アジャイル開発
従来のフォーターフォール型開発と比べて,アジャイル開発の利点は「仕事の仕組みは変化する」という前提に立っている点です。今まで説明してきた通り,これからのビジネスは変化することが前提で,そのためにクラウドやDXを推進しているのでした。これらと対応するように,開発方法もをーターフォール型からアジャイル型に変化させる必要があります。
DevOps
従来は「とにかく早くアプリケーションをユーザに使ってもらいたい」という開発チームと,「とにかくシステムは安定して稼働させたい」という運用チームの要件が対立してしまっていました。そこで,お互いに強調して開発・運用を行うことを目指す動きが出てきました。このような取り組みをDevOpsと呼びます。アジャイル開発との組み合わせ技もあり,変化に対して俊敏に対応できるような開発・運用を目指します。
クラウドネイティブとAPI
クラウド事業者に任せられる部分は任せてしまって,その他の本来注力するべき部分に集中しようという取り組みをクラウドネイティブと呼びます。1つの処理を複数の独立した機能の組み合わせで実現する「マイクロサービスアーキテクチャ」や,DevOps,コンテナなどを利用して実現されます。また,多くのサービスがAPIとして自社の機能を後悔するようにすれば,他の企業も同じきのうの開発に終始してしまうことがなくなり,オープンイノベーションを推進することが可能になります。このような枠組みを「APIエコノミー」と呼びます。
参考書籍
本記事の内容を正確に理解するためには,こちらの書籍をご覧いただくのが一番手っ取り早いです。