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【3分で分かる】ディープテックとは?

最近○○techっていう言葉が流行っているよね?

ディープテックなんて言葉があるのか?

本記事では,ディープテックとは何かについてお伝えしていきます。基本的に,『DeepTech「眠れる技術」』を参考にして,簡単にまとめていきたいと思います。目標としては,この記事を読むことで他の人に「FinTechやEdTechとDeepTechは何が違うのか」「DeepTechを使うと何が嬉しいのか」を説明できるようになることです。

以下が原著の書籍になります。

まずは結論

ディープテックとはテクノロジーを使い,
根深い課題を解決していく考え方や活動のことを指します。

FinTechやEdTechは金融や教育分野においてテクノとジーを融合させることで革新を起こしていこうという考え方や活動のことを指します。一方,DeepTechは分野にとらわれず,むしろ分野を横断しながら根深い(Deep)課題を解決する考えや活動のことを指します。

DeepTechの要件を噛み砕いてお伝えしてみます。参考書籍では,DeepTechの定義として5点挙げています。

  1. 社会的インパクトが大きい
  2. 研究開発が必要
  3. 資本投入が必要
  4. 参入障壁が高い
  5. 地球規模の課題解決のあり方を変える

「Hello Tomorrow」というNPOによるディープテックの定義には「破壊的技術(既存の市場を破壊して新たな市場を開拓するような技術)」が入れられていますが,本書では入れられていません。ディープテックは,必ずしも既存の産業を破壊して新たな市場を作りうるものではなく,むしろ既存の産業を活気づけるものだと考えているからです。

技術は手段でしかない

〇〇Techという言葉を聞くとき,多くの場合利用されるテクノロジーは最新技術を想定される場合が多いように思えます。しかし,ディープテックでは「地球規模の根深い課題を解決する」ことが大切であり,技術が最新かそうでないかは二の次です。むしろ,”枯れた”技術を活用できるポテンシャルに注目するべきという観点もあります。

これまでの日本は,先端テクノロジー(ハイテク)を追い求めてきました。しかし,これからは十分に成熟した先端テクノロジーを知によって結合し,集合体として利用することで地球規模の課題を解決していく必要があるのです。もちろん,眠れる技術とハイテクの融合だってあり得るわけです。

キーワード

ディープテックにまつわるキーワードとして,以下の3点を挙げます。

●バイプロダクト(By-product)
●ディセントラライズド(Decentralized)
●サステナブル(Sustainable)

バイプロダクトは,ある目的で生産される過程の副産物のことを指します。例えば,パーム油を搾り取った後の残りカス(パーム核粕)です。ディセントラライズドは非中央集権型とも訳され,簡単に言えば「分散」です。人口などを中心に,一極集中型となっている地域が多く,それらを分散させるような方向で課題を解決していくべきだとされています。

サステナブルは,今話題の「持続可能性」に通ずる言葉です。SDGs(持続可能な社会を目指すための地球規模の取り組み)やPSSD(モノとコトを両立させるようなデザインの総称)などが求められる中で,サステナブルな課題解決という観点はこれから必須となるでしょう。

破壊的イノベーションは正義か

クリステンセンによれば,イノベーションでは破壊的技術の見極めが大切だとしています。例えば,Uberなどは既存の「実店舗売り切り型ビジネス」をオンライン化すると同時に,特にモビリティの分野ではシェアリング型ビジネスに移行させました。諸説はありますが,私はこれこそ既存の市場を全く新しい技術で置き換える破壊的技術だと考えています。

破壊的技術は「一見役に立たなそう」という技術でも長い目で投資すると芽がひらくというような「事後的に定義された技術」です。このような観点から,Uberなどは出てきた瞬間から「役に立ちそう」と思えるため,破壊的技術ではないとする立場もあります。

参考書籍中では,イノベーションを「東洋・西洋」「変化受容性の高低」の2軸で捉えることで,地域による違いをうまく反映しています。このように,地域ごとの多様性を考慮した上で,適切なイノベーションを志向していくべきなのかもしれません。破壊的イノベーションは,必ずしも正義ではないというコトです。

参考書籍p.63

ディープテックの歴史

参考書籍p.77

ディープテックは,ネットワークインフラの整備やシェアリングエコノミーの普及とともに発展してきました。特に,知的財産が公開されるようなオープンイノベーションを基盤とした枠組みから始まっているようです。そこに,「課題解決型」のスタートアップやSDGsをはじめとするサステナブル志向が相乗効果をもたらし,ディープテックがさらに成長していきました。

面白いのは,1990年代のソフト革命の時代に成功した方たちが,現在のディープテックを後押ししているという事実です。ビルゲイツ氏や,マークザッカーバーグ氏などが,多額の投資を行なっています。これは,サステナブルを志向するディープテックならではの恩恵だと思います。

具体例

参考書籍では,これでもかというくらいディープテックの具体例が採り上げられていますが,ここではバイプロダクトを利用した直感的な例を採り上げます。インドネシアの産業廃棄物として,石炭燃料から生まれるバイプロダクトがあります。それを利用して「浸透性の高いブロック」を開発することで,洪水被害に悩んでいる道路の舗装に利用しようというディープテックがあります。

ここで注目するべきなのは,「浸透性の高いブロック」だけでは道路舗装として強度が足りなかったことです。それでは,どのように強度を上げたのか。それは,日本企業が従来から保有している技術を利用したのです。これこそ,ディープテックにおける「眠れる技術との融合」です。

例えば,ブラウン管は枯れた技術を応用できなかった悪例として知られています。ブラウン管が液晶テレビに置き換わった当時は,ブラウン管のノウハウを溜め込んでいたはずなので,テレビという用途以外にもブラウン管は活用できたはずなのです。今や,ノウハウは廃れてしまったため,再び花開かせることが難しいでしょう。

ピンチをチャンスに

こちらの記事でも強調しているように,日本は「人口減少&少子高齢化」を同時に抱えている世界唯一の国です。この状況は,明らかにピンチではありますが,これから世界各国が同じ問題に直面することは想像に難くありません。つまり,日本が「人口減少&少子高齢化」というディープイシュー(ディープテックの対象となる根深い課題)を解決するパイオニアとなることで,ディープテックを海外に輸出できる転換点となるのです。

QPMIサイクル

参考書籍p.175

参考書籍の最後に紹介されているのが,QPMIサイクルです。これは,以下のようなサイクルです。

「質の高い問題(Quality/Qustion)に対して,個人(Person)が崇高なまでの情熱(Passion)を傾け,信頼できる仲間たち(Member)と共有できる目的(Mission)に変え,解決する。そして,諦めずに試行錯誤を続けていけば,革新(Innovation)を起こすことができる。」

従来のPDCAを,サステナブルに拡張した概念です。ディープイシューを発見して,ディープテックによって解決するために,このQPMIサイクルを回し続けることが大切になります。また,実は「0→1」の場面でQPMIサイクルが利用され,「10→100」の場面ではPDCAが利用されるとする見方もあります。

参考書籍p.176

参考書籍

本記事の内容を正確に理解するためには,こちらの書籍をご覧いただくのが一番手っ取り早いです。

ABOUT ME
zuka
京都大学で機械学習を学んでいます。

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