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【3分で分かる】日本人の勝算<大変革時代の生存戦略>

この時代,日本人はどうすれば世界で生き残ることができるの?

日本はオワコンって声も聞いたことあるぞ。

本記事では,「人口減少×高齢化×(日本型)資本主義」という世界でも唯一の状況に立たされている日本人が,世界で生き残るためにはどうすれば良いのかを記述していきます。基本的に,「日本人の勝算ー大変革時代の生存戦略ー」を参考にして,簡単にまとめていきたいと思います。目標としては,この記事を読むことで他の人に「日本はこれから何をしていけば良いのか」「なぜそうしなくてはならないのか」を説明できるようになることです。

以下が原著の書籍になります。

まずは結論

最低賃金の継続的な引き上げ

を行うことが,現在の日本を動かす「要石」になります。以下では,なぜ最低賃金の引き上げをするべきなのか,そもそも日本では何が問題になっているのか,そしてどのように最低賃金の継続的な引き上げを行っていくのかを説明していきます。

日本の現状把握

本書の題名にもあるように,日本は「人口減少×高齢化×(日本型)資本主義」という状況にある,世界でも唯一の国家です。それぞれについて見ていきます。

人口減少

正直なところ,私自身本書を読むまでは,人口減少がマイナスの影響を与えるとは思っていませんでした。まず前提として,世界で大幅な人口減少問題を抱えている国が少なく,人口減少に関わる研究が少ないということが指摘できます。しかし,数少ない研究の中でも,人口減少は強力なデフレ要因であることが言われています。

根拠としては,「人口増加がインフレ要因である」ことの裏返しとして捉えられることができます。また,規制や物理的な制限が厳しい不動産を採り上げて,人口が減れば需要も減り,不動産価格が下がりやすく,全体の物価を押し下げる主因になるとしています。

本文中では,人口減少している状況では量的緩和は効かないとしています。その心は,量的緩和で物価が上昇するのは,需要者が一定である場合だからです。需要者が減少している状況では,量的緩和が必ずしも物価上昇に結びつく訳ではありません。

少子高齢化

高齢化は,借り入れ需要の減少を引き起こします。というのも,銀行からお金を借りようとするのは若者で,住宅取得資金に充てる場合が多いからです。また,単純に高齢者になると消費意欲も減少します。

したがって,少子高齢化の状況では,銀行を経由した量的緩和の効果は限定的なものとなります。余った不動産を減らして供給調整をすれば,インフレにもっていくことも可能でしょう。

以上を踏まえると,人口減少と高齢化により民間の需要が減少している中では,個人消費を促すほかありません。そのために必要なのが,継続的な賃上げということになります。

(日本型)資本主義

人口増加を前提とすれば,いいものをより安く提供する「低次元資本主義」は正義とされました。しかし,人口減少を迎えている国では,価値の競争を行う「高次元資本主義」を行うべきです。よりいいものをより高く,とも表現できます。

低次元資本主義は,目先の利益だけを追い求めるスタンスです。将来への投資という観点は削ぎ落とされ,結果的に国への貢献度も低下するため,社会保障制度の維持が困難になります。長い目で見て生産性を向上させるためにも,日本は高次元資本主義に移行するべきなのです。

そもそもの目的

そもそも,日本では何が問題になっているのでしょうか。本書では,「社会保障のためにGDPを維持する必要がある」という点をピックアップしています。GDPはGDPでも,特に生産性という言葉が頻繁に使われています。つまり,一人当たりのGDPを維持or増加させていこうということです。

経済成長の捉え方

経済成長には「人口増加要因」「生産性向上要因」があります。従来の世界の経済成長は,前者の人口増加要因に基づくものでした。しかし,前述の通り,日本は大幅な人口減少を迎えると言われています。そのため,日本における経済成長は「人口減少を賄うくらい生産性を向上させること」が必要になります。

供給調整という解決方法

先に不動産の例でも述べた通り,供給調整ができればデフレ圧力を弱めることも可能になります。人口減少&少子高齢化で需要が減少した分は,海外に輸出することで供給調整を行うという作戦もあります。

実際に,日本の観光業を考えると,スキーリゾートなどを中心に国内需要が減少した分を広義の輸出によって供給調整していると捉えられます。

実際に,輸出と生産性には高い相関関係が認められています。多くの研究では,「すでに生産性の高い企業が輸出をする」と結論づけているようです。つまり,輸出自体は生産性に寄与せず,輸出したいという気持ちの方が大切だということです。

つまり,輸出を行うためには前もって生産性を向上させておく必要があります。具体的な施策としては,東南アジア諸国をターゲットにして日本の生産性を向上させておいてから,世界の市場に進出するのが得策だとされています。

一方で,輸出が生産性を向上させるという仮説も立てられています。

本書籍中では,中間財の賢い輸入が生産性を高めるとされています。例えば,観光業では外資系のホテルの誘致が進んでいますが,ホテルを中間財と見なせば,賢い中間財の輸入をしているとも捉えられます。

生産性向上

繰り返しにはなりますが,日本は生産性を向上させる必要があります。それは,そもそもの目的でもありますし,供給調整を行うための輸出を可能にするためでもあります。そして,生産性向上と非常に相関関係が高い要因が,企業規模です。

企業規模が小さいと,輸出のためにはより高い生産性が必要となることが指摘されています。日本は,企業規模の小さい国ですので,輸出を行うためには高い生産性が求められることになります。また,女性が活躍することも生産性を高めるためには重要なことです。というのも,生産性は一人当たりのGDPで,「1人」のなかにはもちろん女性も含まれているからです。

このような背景から,日本では企業統合が効果的と考えられます。人口減少していることからも,企業統合は必須とも言えます。

そして,いま最も注目されている要因が「最低賃金」です。最低賃金を引き上げることで,生産性を向上させることができるのではないかとされています。これは,「最も生産性の低い企業をターゲットにできる」「最低賃金で働いている人の給与水準をあげると消費に向かいやすい」「経営者の利益が圧迫され生産性を向上せざるを得ない状況を作り出せる」というような理由があります。

昔から言及されている「最低賃金をあげると失業者が増える」という仮説は,イギリスをターゲットにした研究から否定されています。また,韓国における最低賃金の引き上げの失敗例からは,適切な引き上げ率を設定しなければならないという学びを得られます。

日本の強み

日本人は,労働者の質が高いことで有名です。しかし,最低賃金は世界でも低い部類に入ります。これを客観視すれば,「質の高い労働者を低賃金で使っている」ということになります。ここに,問題解決のポイントが隠れています。それだけ伸び代があるということだからです。日本の労働者は世界一搾取されている状況にあります。

放っておいても,経営者は労働者の賃金をあげることはしません。今のままで,する必要がないからです。だからこそ,国が強制して最低賃金を底上げする必要があります。「賃金の低さは美徳だ」などとほざいている時間はありません。税率操作などといった小手先の対応ではなく,給与水準を上げることにより根本的な解決を目指すべきです。

定着のために

最低賃金の底上げは,ショック療法としては有効でしょう。しかし,継続的に経済成長に寄与するかと言われればNOです。継続的なサイクルを回すためには,人材教育が必要です。新しい技術を活用するためには,経営者も労働者もスキルアップが不可欠なのです。

特に「全要素生産性」と呼ばれる広義の生産性の概念が,日本では低い水準にあります。人と設備の組み合わせ方や活かし方に問題があるということです。高齢化の時代では,より幅広い世代のトレーニングが必要になり,それは強制されるべきであるとされています。

参考書籍

本記事の内容を正確に理解するためには,こちらの書籍をご覧いただくのが一番手っ取り早いです。

ABOUT ME
zuka
京都大学で機械学習を学んでいます。

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