本記事は教養記事シリーズその1です。その他の教養記事はコチラの目次をご覧ください。
有給休暇とは?
バイトでも取れるの?
どうやって取るの?
最近の動向は?
有給休暇とは
有給休暇は「年次有給休暇」の略称で,ある条件を満たした労働者に対して与えられるお金がもらえる休暇日のことを指します。年次と呼ばれているくらいなので,毎年決まった数の有給を取得することができます。
エクスペディアが発表した「世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2018」によると,日本の有給取得率はは19か国中最下位の50%となっています。
有給の申請は基本的に通ります。というのも,雇用している側が有給の申請を拒否することができないのです。ただし,例外として有給を与えることで組織の運営が妨害されてしまう場合に限り有給の時期を変更させることができます。
条件
有給を取得できる条件は労働基準法という法律の39条によって定められており,使用者は「6か月間継続して」「全労働日の8割以上出勤した」勤務した労働者に対して「10日の有給」を与えなくてはならないと定めています。
「全労働日の8割以上」に関して,労働基準法39条によると育休やケガによる療養等でも労働しているとみなされます。また,有給の付与日数は最大で20日となっており,週の労働時間や労働日数,継続期間等により定められています。
他にも,場合によっては有給が連続して取られると不都合な場合がありますので,付与日数が5日を超える部分に関しては計画的に日数を振り分けることができる仕組みや,1時間単位で付与することができる仕組みも確立されています。
これらの条件はバイトなどの非正規労働者に対しても適用されます。しかし,たとえば週に1回の頻度でしか勤務しないバイトに対しても同じ基準を適用してしまうと,あまりにも有給を取得しやすくなってしまいます。そこで使われるのが「比例付与方式」と呼ばれる考え方です。
比例付与方式とは,簡単に言ってしまえば労働時間・日数は少ない労働者に対しては相応の有給を与えますよという考え方です。まずは,「週30時間以上、かつ週5日または年間217日以上」の労働者の場合は以下の表に従うことになります。
勤続年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年~ |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
「週30時間未満、かつ週4日以下または年間216日以下」の労働者の場合は以下の表に従うことになります。
週労働日数 | 年労働日数 | 継続労働日数(単位:年) | ||||||
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5~ | ||
4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日 ~72日 |
1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
取得方法
実は,有給の取得方法に関して法律で定められているという訳ではありません。ですので,適切なタイミングで会社に連絡をすれば取得できるパターンがほとんどだと言います。
注意点
有給には2年間という時効があります。また,未消化分は翌年に繰り越すことができます。他にも,使用者は有給の取得目的を尋ねてはいけません。プライベートな目的でも安心して取得申請することができます。
日本では有給の取得率が非常に低いですが,これは国民の有給に対する理解が足りていないことの現れでしょう。バイトでも有給を取得できるという事実を知っている人は少ないのではないでしょうか。
最近の動向
最近では,働き方改革の一環として有給の取得が義務化されました。平成31年(2019年)4月1日からは,年10日の有給を得ている労働者に対して会社は,最低でも5日は有給休暇を取得させることが労働基準法上の義務となります。違反をした場合には,6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
企業は,時季変更権や計画付与等を利用して有給を取得させることになるでしょう。私たちも,有給取得が当たり前の社会を作るべく意識を変えていく必要があります。
まとめ
有給の取得率が低い日本ではありますが,働き方改革を契機に多くの企業では有給取得に対して前向きな姿勢を取っています。労働者の意欲や効率性などを踏まえたうえで,有給をポジティブに捉えるような考え方が求められています。