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【国際ビジネス論】デザインシンキング(思考)とは?

最近,ビジネスの中で「デザインシンキング(design thinking)」という考え方が注目されています.

 

デザインシンキングってなに?
実際にはどうやって用いられてるの?

 

この記事では,デザインシンキング(思考)について,文献[[1]]と「The Interaction Design Foundation」というUXプログラムのHP[[2]]を利用しながら,その重要性と具体例を用いながら実際のビジネスへの応用方法を考えていきたいと思います.

★この記事の流れ★

デザインシンキング(思考)について以下の項目に焦点を当てて説明していきたいと思います.
定義
特徴・比較
重要性
5つのプロセス

 

定義

デザイン思考は,以下のように定義されます.

Design Thinking is an iterative process in which we seek to understand the user, challenge assumptions, and redefine problems in an attempt to identify alternative strategies and solutions that might not be instantly apparent with our initial level of understanding.

By “The Interaction Design Foundation”

簡単に一言でまとめると,「ビジネス上のあらゆる問題を,ユーザー視点で解決するための体系化されたプロセス」ということになります.

大切な点は,デザイン思考を用いることで多くの仮定を試みて,問題を再定義しすることで,より深い理解と斬新かつ合理的な解決方法が導き出されるという点です.

 

特徴・比較

デザイン思考の特徴は,ユーザー視点の解決方法を導き出す方法が体系化されている点です.分かりやすくするために,戦略思考(Strategic thinking)と対比しながら考えていきましょう.戦略思考は,定量的な評価に基づいて経営者視点の問題解決方法を導き出す手段の1つです.ここで,デザイン思考を理解するうえで重要な点は「定量的」「経営者視点」という箇所です.

デザイン思考は,あくまでもユーザー視点の解決方法を導くプロセスであり,必ずしも定量的とは限りません.そして,定量的でないユーザー視点を体系的に導き出せるからこそ,デザイン思考が注目されているのです.

 

重要性

従来の社会では,技術の発展に伴って私たちの生活環境は大きく変わっていきました.言い換えれば,技術発展に対して受動的な行動を取っていたのです.

テレビがカラーになれば,カラーテレビを利用する.ノートパソコンが開発されれば,ノートパソコンを使用する.スマホが発売されれば,スマホを利用する.私たちは,発達した技術が作るプラットフォームに対応しなくてはならなかったのです.しかし,様々なプラットフォームが十分に発達した現代では,ユーザーは自分の好きなサービスを選択できます.ここに,デザイン思考の重要性がみられるのです.

従来のように,新しい技術を発表すれば全員がそれを利用するというような状況であれば,経営者の企業戦略が最も重要視されていました.それは,もちろん現代でも必要な側面ではあるのですが,ユーザーの自由度が増している現代社会ではユーザー視点の戦略が必要になってくるのです.

 

5つのプロセス

デザイン思考の発散・収束のプロセス

デザイン思考には,5つのプロセスが存在します.

デザイン思考の5プロセス

1.Empathize(観察・共感)
2.Define(問題定義)
3.Ideate(創造)
4.Prototype(プロトタイプ)
5.test(検証)

それぞれ詳しく見ていきましょう.

 

Empathize(観察・共感)

まずは,ターゲットを理解することから始めます.ユーザーに対してインタビューやテストを繰り返すことにより,問題の背景や課題が明らかになってきます.ここで大切なのは,いかに多くの思考を繰り返すかという点です.5W1Hに代表されるような,Framing auestionと呼ばれる質問を利用することで効率的にブレインストーミングすることができます.

Define(問題定義)

Empathize(観察・共感)で発散したアイディアを,Define(問題定義)で収束させます.ここでは,出されたアイディア間でコアになる部分を抽出していきます.また,収束させる際には,スタート地点がそもそも異なるのではないかといったような根本的な初期設定の問題に関しても配慮する必要があります.

Ideate(創造)

定義された問題に対して,Empathize(観察・共感)と同様にして出来る限り多くのアイディアをブレインストーミングします.ここでは,Empathize(観察・共感)より具体的なアイディアになることが多いです.

Prototype(プロトタイプ)

Ideate(創造)で発散したアイディアを,実用化・応用化できる形にプロトタイプ化します.必要に応じて,Empathize(観察・共感)に戻る柔軟性も求められます.

test(検証)

最終的には,Prototype(プロトタイプ)で出来上がったアウトプットを実際のユーザーに対して繰り返しテストします.プロトタイプ化の時点で多くのアウトプットが出ている場合は,優先度をつけて効率的に検証プロセスを回す必要があります.

 

まとめ

いかがでしたでしょうか.デザイン思考は,ユーザー主体の社会であるからこそ意味を持ちます.裏を返せば,ユーザー主体でない分野には向かないプロセスであるとも言えます.

ビジネスの中では,「この考え方・プロセスに基づけば完璧だ」といったようなひな型は存在しません.戦略思考とデザイン思考を対比したように,各手法には必ず利点と欠点があります.いかにお互いを補い合う形でビジネスに応用させるかが,勝負の分かれ目です.各手法を,各分野にフィットさせた形でハイブリットさせていくことが求められています.

参考文献

[[1]] Carlgren, Lisa. “Design thinking in innovation, in practice: the case of Kaiser Permanente.” EURAM conference proceedings. European Academy of Management, June 1-4, Paris,. 2016.
[[2]] https://www.interaction-design.org

ABOUT ME
zuka
京都大学で機械学習を学んでいます。

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