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【初学者向け】マルチメディア通信<フローとラベルに基づくQoS編>

この記事では,マルチメディア通信に関わる知識を簡単にまとめていきたいと思います。ただし,全ての知識が詳しく網羅されている訳ではありません。また,分かりやすいように多少意訳した部分もあります。ですので,参考程度におさめていただければ幸いです。

間違えている箇所がございましたらご指摘ください。随時更新予定です。他のサーベイまとめ記事はコチラのページをご覧ください。

RSVP

QoSを保証する形態として,データのフローごとに帯域幅を確保する「IntServ」と,クラスごとに帯域幅を確保する「DiffServ」があります。フローの状態数が膨大になることから,今ではDiffServが主流です。品質保証に関してはこちらの資料[外部リンク:3章:品質保証技術]が詳しいです。

RSVP(Resource Reservation Protocol)は日本語訳(リソース予約プロトコル)の通り,データ通信開始時に特定のフローに対して伝送帯域を予約し,通信路のQoSを保証するトランスポート層のプロトコルです。IntServのために開発されました。アプリケーションの要件ごとに動作を変更したり,フローの状態記憶が膨大になるため中間ルータがスケーラブルではないという特徴が挙げられます。

RSVP自体はルーティングプロトコルではなく,他のルーティングプロトコルと組み合わせて使われます。帯域幅の予約は一方向のみで,受信者が主導して行われます。また,ユニキャストとマルチキャストの両方に対応できます。

具体的には,送信者は受信者に向けて「Path」を送ります。この際,マルチキャストであればグループにjoinしておき,ユニキャストであれば通常のリーティングに従います。Pathを受け取った受信側は,Pathが流れてきた方向に向かって「Resv(予約要求)」を送ります。送信者に向かって送らない理由としては,各ノードが保持する情報量が少なくて済む点が挙げられます。送信者がResvを受け取ればセッションが開始されます。

予約の形式には大きく分けて3種類あります。これらは「senderをいっぺんに予約するか(Shared),個別に予約するか(Distinct)」と「Senderを明示的に指定するか(Explicit),しないか(Wildcard)」によって分類されます。

文献[2]より

1つ目は「FF(Fixed Filters)」で,ビデオ信号向きの形式です。2・3つ目は「SF(Shared Filters)」と「WF(Wildcard Filters)」でマルチキャストのアプリケーション向きの形式です。

大規模ネットワークへの応用として,中間ルータがRSVPで接続されていなくてもよい「RSVPトンネリング」があります。RSVPルータと非RSVPルータはルーティングテーブルを使ってパスメッセージをやり取りする必要があります。

MPLS

ルーティングMPLS(Multi-Protocol Label Switching)は,IPアドレスの代わりに固定長のラベルを用いてプロトコル間をスイッチングする技術です。詳しく言えば,ラベルはLayer2(データリンク層)とLayer3(ネットワーク層)の間に付与されます。

MPLSを用いることで何が嬉しいかはというと,データ転送のためにチェックするべきbit数が少なくなることで高速転送が可能になる点,データの参照方法が異なる(IPの場合は「Longest match」でラベルスイッチングの場合は「Exact match」)ため検索時間が短くなる点,独立したネットワーク(VPN)を構築できる点,明示的に経路を選択することで混雑を避けたり障害を回避できる点などが挙げられます。(参考:[外部リンク:MPLS – MPLSを使用する利点]

今日の技術を利用すればIPルーティングでも十分高速な転送をすることは可能です。

RSVPとラベルを組み合わせた「RSVP-TE」というプロトコルもあります。

参考文献

[1] ネットワークエンジニアとして(https://www.infraexpert.com/
[2] Wittmann, Ralph, and Martina Zitterbart. Multicast communication: Protocols, programming, & applications. Elsevier, 2000.

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zuka
京都大学で機械学習を学んでいます。

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