この記事では,研究のサーベイをまとめていきたいと思います。ただし,全ての論文が網羅されている訳ではありません。また,分かりやすいように多少意訳した部分もあります。ですので,参考程度におさめていただければ幸いです。
間違えている箇所がございましたらご指摘ください。随時更新予定です。他のサーベイまとめ記事はコチラのページをご覧ください。
本記事の内容
大学で学習した「情報セキュリティ」の内容を網羅的にまとめていくものです。目次は以下の記事をご覧ください。
著作権とは
著作権は,知的財産権のうちの一つの権利です。
【知的財産権】
●産業財産権
・特許権
・実用新案権
・意匠権
・商標権
●著作権
●その他
・回路配置利用権
・育成者権
著作権は,国際法と国内法によって定められています。国際法では「ベルヌ条約」「万国著作権条約」等によって定められています。国内法では,「著作権法」によって定められています。
著作権の発生
著作権の発生には,2通りのパターンがあります。1つは「無方式主義」と呼ばれ,ベルヌ条約で定められている方式です。著作権は著作物を作成した時点で発生すると定めています。著作物に特定の表示や登録をする必要はありません。
一方,もう1つは「方式主義」と呼ばれ,表示をすることで著作権が発生するとする方式です。こちらの方式を採用しているのは,現在カンボジアのみとなっています。
著作物とは
思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又はんがkの範囲に属するものをいう。
著作権法第二条一
著作権の種類
著作権は,以下のような権利を含みます。
●著作者人格権
・同一性保持権など
●公表権(日本のみ)
●著作隣接権
・実演家の権利
・レコード事業者の権利
・放送事業者の権利
著作権の所属
基本的には,著作物の作成者に著作権は帰属されます。職務上作成する場合,特に契約を交わしていない場合は法人に帰属されます。多くの場合は,しっかりと契約で著作権の所在を明らかにする場合が多いと思います。
プログラムの著作物
プログラムは一定の規則にしたがって作成されるものであるから,ある程度の工夫がないと著作権が発生しない場合があります。以下の例を考えてみましょう。
●HTMLで書かれたWebページ
→HTMLはかなり制約の強い言語ですので,それなりの工夫が認められなければWebページに著作権は発生しないかもしれません。
●マクロの入ったExcelファイル
→Webページ同様に著作物性が認められれば著作権が発生します。
●アニメーション入りのPowerPointファイル
→アニメーションが映像の著作物に該当する可能性があります。
●Postscript形式の印刷データ
→生のデータには著作権が発生しますが,印刷データには発生しないと考えられます。
●Flashのアニメーション
→アニメーションが映像の著作物に該当する可能性があります。
著作権管理
デジタルコンテンツのう制限な利用を防ぐために用いられる技術を「DRN(Digital Rights Management)」と呼びます。日本では,DRMを回避するような技術を流通させることは不正競争防止法違反になりますが,保護技術が用いられているデータの複製自体は対象外になります。
そのとき,保護技術を回避するようにして複製を行う場合でも範囲外になってしまいます。一方,米国では「デジタルミレニアム著作権法」によりソフトの改造自体が違法となっています。
著作権の一部非親告罪化
被害者からの訴えなしに起訴することができない罪を,親告罪と呼びます。著作権等侵害の場合,一部は非親告罪かされます。簡単には,以下の3要件が満たされる場合に非親告罪かされます。
●利益を得る目的
●原作のまま扱う
●権利者の利益が不当に害される
たとえば,映画の海賊版をネット配信する行為は,3要件に当てはまるため,非親告罪化します。一方,同人誌をコミケで販売する行為は,親告罪です。
公衆送信とは
公衆によって直接受信されることを目的として無線通信または有線電気通信の送信を行なうこと。
サイバー法用語集
公衆送信に関する有名な判決としては,「まねきTV事件」が挙げられます。まねきTVは,ロケーションフリー機器(遠隔地からでもTVを視聴できるようにするデバイス)を利用して,海外にいる日本人にも日本のテレビをリアルタイムで視聴できるようにするサービスを提供していました。しかし,テレビ局はまねきTVが「公衆送信権」等を侵害しているとして,起訴しました。
まねきTV側の主張としては,「利用者の機器を預かっている」だけなので送信には関与していないということ,「利用者の機器から利用者に向けての送信」なので公衆送信には該当しないということでした。
最初の方はテレビ局が敗訴していましたが,2011年の最高裁判所の判決からは著作権侵害にあたるとの判決が下されています。
まとめ
情報セキュリティの著作権についてお伝えしました。特に,情報系の身としては,AIと著作権の議論が非常に面白かったです。AIは人間のデータをもとにして人間らしいデータを作成するので,どうしても人間とは切っても切り離せないものです。そこに,著作権をどのようにして組み込むかという問題は,法律を定め直すレベルで難しい問題に発展するだろうと感じました。