この記事はレビュー記事シリーズのドラマ「ストロベリーナイト」編です。キャストや使用楽曲,あらすじ等をザっと振り返った後に,全体を通して考察を加えていきます。レビュー記事の目次はレビュー記事のまとめページをご覧ください。
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評価
管理人のレビュー:
キャストが大好きになってしまう作品です。原作のグロさを上手に描写していますが,それでもエグい場面はたくさんありました。そのグロさをメッセージ性に荷担させることで,作品を上手くまとめあげています。ベタ中のベタですが,菊田(西島さん)とガンテツ(武田鉄矢)が大好きです。
主なキャスト
●竹内結子(姫川玲子)
●西島秀俊(菊田和男)
●小出恵介(葉山則之)
●丸山隆平(湯田康平)
●宇梶剛士(石倉保)
●生瀬勝久(井岡博満)
●高嶋政宏(今泉春男)
●遠藤憲一(日下守)
●武田鉄矢(勝俣健作)
主な受賞
●ザテレビジョンドラマアカデミー賞
●日本民間放送連盟賞
など
使用楽曲
●GReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」
あらすじ
トラウマに立ち向かいながら「強さとは何か」を問いかける刑事ドラマ。
姫川は警視庁捜査一課の姫川班主任で,超エリートの警部補です。幼い頃に刃物で刺された上にレイプされ,心に大きなトラウマを抱えています。「姫川は女性だから」という偏見と戦いながらも,芯の強さと直感の鋭さから数多くの事件を解決してきました。
姫川班には,姫川の相棒の菊田,新入りのノリ,新人の康平,ベテランの保さんが所属しています。菊田は姫川に恋心を恋心を抱いていながらも,姫川の良き相方として任務を全うしています。ノリは主任が女性だということに違和感を感じながらも,自分が「強く」なってトラウマを克服するために日々精進を続けています。康平は新人ながらも頑張って動き回ってよい仕事をしています。保さんは,姫川班にとっては父親的存在です。
姫川班は数多くの事件の真実を突き止め,犯人を探し出します。しかし,その過程は決してキレイなものではありません。内部の昇進争いや,男尊女卑,完全なる縦社会など,日本の古き伝統が警視庁捜査一課という場所で描かれています。
姫川やノリが抱えるトラウマや,姫川班にとって事件の捜査方針はどのようにあるべきなのかということを問われながら,メンバーはたくましく成長していきます。事件のストーリーはもちろんのこと,登場人物に入り込んでしまうくらいキャラが立ったメンバーが捜査一課で活躍するお話です。
感想/解説
本作品では,警視庁ならではの用語がたくさん使われるので,ここで軽くまとめておこうと思います。
●所轄:地元に置かれた警察署
●帳場:捜査本部
●ホシ:犯人
●マルガイ:被害者
●ヤマ:事件
また,ストーリーの面白さは大前提なのですが,やはり本作品はキャラクターが大好きになるドラマの1つだと言えます。生死を扱う事件を目前に,人間同士が本気でぶつかり合うからこそ,私たちも本作品にのめり込んでしまうのかも知れません。
メッセージ性としては,「トラウマを克服する強さとは何か」ということだと思います。本作品の冒頭で印象的に描かれている姫川のレイプシーンや,度々回想されるノリの家庭教師の殺人シーン。人間にとって刃物で刺されることは「死にかける」体験であり,同時に,女性にとってレイプは「死ぬ」体験であります。男性にとっては,大事な人を守れなかったということは自分の存在意義を踏みにじられる体験です。
姫川は,心身ともに「死にかける」体験をトラウマとしてもっています。ノリも,自分の弱さを突きつけられるトラウマをもっています。二人とも,心に闇を抱えながら警視庁での捜査を行なっていきます。
ノリは菊田に問います。「強さって何なのでしょうか」。人間の強さとは,トラウマに打ち勝つことなのでしょうか。そもそも,トラウマを作らないほどに強くなることが,人間の強さなのでしょうか。
姫川は,非常に強い人間です。これは,本作品を観ている人ならば誰しもが同意する主張でしょう。家族とのしがらみも乗り越えかけています。対して,ノリはどうでしょうか。物語終盤では,ノリは強くなれずに終わっています。
逆説的ですが,強さとは自分の強さを信じ,相手の心を信じることなのだと思います。強さというのは,自分を信じることから始まると思うのです。姫川は,自分の直感には絶対の自信を持っています。対して,ノリはいまだに自分の力や能力に自信がありません。また,姫川は姫川班のメンバー全員を心から信頼しています。対して,ノリは物語中盤まで姫川を疑問視していました。
自分を信じ,相手を信じた姫川は結果として「強い女性」と描かれ,自分を信じることができず,相手も信じることができなかったノリは結果として「強くなれなかった男性」として描かれていたのではないでしょうか。
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