本記事は教養記事シリーズその54です。その他の教養記事は【超初心者向け】3分で分かる!教養記事シリーズ目次をご覧ください。
ブロードキャスト
ブロードキャストストーム
LAN
ブロードキャストストーム
ブロードキャストストーム(Broadcast storm)を日本語に直すと,「ブロードキャストの嵐」となります。
これでは全く意味がわかりませんね。そこで,まずはブロードキャストについてお伝えしていこうと思います。
LAN
ブロードキャストは,ネットワーク通信方式の1つです。
【ネットワーク通信】
●ブロードキャスト
●ユニキャスト
●マルチキャスト
ブロードキャストは,同一ネットワークにある全ての端子と通信を行う方式です。逆に言えば,ブロードキャストが届く範囲のことを「同一ネットワーク」と呼びます。つまり,LANとはブロードキャストが届く範囲のネットワークのことを指しているのです。
ブロードキャストは全ての端末と通信を行うため,無駄が多い通信です。しかし,相手のMACアドレスを知りたい場合や,全端末と同期を取りたい場合に利用されます。他にも,以下のような用途でブロードキャストは利用されます。
【ブロードキャストの利用例】
●ARPリクエスト
→IPアドレスとMacアドレスの対応付け
●RIP
→ルーティングプロトコルの1つ
●DHCP
→IPアドレス振り分けのためのプロトコル
ユニキャストは,同一ネットワークにある1つの端子と通信を行います。私たちがイメージする通信は,ユニキャストであることが多いです。例えば,電子メールの送受信やWebサイトの閲覧などが該当します。
マルチキャストは,同一ネットワークにある複数の端子と通信を行います。例えば,動画のストリーミング配信サービス等はマルチキャスト通信に分類されます。
ブロードキャストの問題
先ほどもお伝えしたように,ブロードキャストは全端末と通信を行い,かつ頻繁に行われる通信です。そこで,ブロードキャストを行ったときの負担をなるべく軽くしたいというモチベーションから,LANを分割するアイディアが生まれました。これが,「VLAN」と呼ばれるしくみです。
VLANは「Virtual LAN」のことで,直訳すれば「仮想LAN」という意味です。VLANを実現する技術としては,様々な例が挙げられます。Macアドレスを使う方法,IPアドレスを使う方法,認証を利用する方法などです。
ブロードキャストストーム再来
それでは,ブロードキャストストームの説明に戻っていきます。日本語訳すると「ブロードキャストの嵐」でしたが,なんとなくイメージはつきますか?全端子に通信を行うブロードキャストが,嵐のように行われているという感覚で合っています。
ブロードキャストストームを考える上で大切なのは,「どのような状況で起こり得るのか」と「どのようにして回避できるのか」という点です。端的に言えば,ネットワーク内にループがある場合にブロードキャストストームは起こり得ます。ループ構造があることで,ブロードキャストが無限に送受信を繰り返してしまうのです。
なぜ先ほど,わざわざVLANのお話をしたかというと,VLANでもループができてしまう可能性があるからです。イメージしやすく噛み砕けば,VLANをLANスイッチで構成する場合を考えればOKです。
また,ブロードキャストを防ぐ方法としては,STP(Spanning Tree Protocol)が挙げられます。STPは名前の通りプロトコルで,データフレームを送受信しないポートを作ることで,論理的にブロードキャスト通信の無限ループを防ごうとするものです。
他にも,ブロードキャストストーム発生後にはLANスイッチの「ストームコントロール」を利用して,ポートを強制的に閉めることで無限ループを解消する方法も挙げられます。
ひとこと
ネットワーク関係では,ループ構造が問題になることが多いですね。ネットワークの構造が複雑になればなるほど,ループの問題が生じやすくなるということでしょうか。プロトコルとして,ループを防ぐ構造が定められていることは驚きです。