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【徹底解説】外部ド素人が京大情報学研究科の知能情報学専攻に合格するまで

この記事では,学部時代ろくな勉強もせずにひたすら勉学以外のことに打ち込み続けた私が,なんとか知能情報学専攻に合格するまでに何をどのようにしたかをまとめていきます。私自身,外部から入っているということで,特に京大情報学科以外の方にとって参考になるような情報を提供したいと思っています。

ポエムにならないように気をつけます。ベースとなるのは,学部生(もしくは高校生や社会人の方々)が京大情報学研究科の知能情報学専攻に進学するための指針となるような内容です。

結論

まずは,外部の私がどのようにして知能情報学専攻に合格することができたかの流れをお伝えしていこうと思います。下で,各項目について詳しく見ていきたいと思います。

【対策の流れ】
1.院や入試に関する情報収集
2.志望研究室決め
3.受験科目決め
4.英語テスト対策
5.過去問入手
6.授業資料集め
7.ひたすらに勉強
8.過去問を回す

院や入試に関する情報収集

まず最初は,情報学研究科や知能情報学専攻の入試に関する情報を集めるところから着手します。何をするにしても,まずは敵を知るところから始まるからです。簡単に,情報源となりそうなリソースを紹介しておきます。

情報源は,大きく分けて「情報学研究科HP」と「知能情報学専攻HP」があります。当然と言えば当然ですね。情報学研究科のHPには,基本的な入試情報や,その他院に関する説明があります。知能情報学専攻のHPには,各研究室に関する情報や,3年分の過去問を閲覧することができます。

まずは,ここらへんのHPを見ながら,情報学研究科の特徴や各専攻の色などを感じていただければと思います。例えば,先端数理は入試が早い,知能情報は倍率が以上に高い,などなどです。ここからは,参考までに各専攻の過去の入試倍率を考察していきたいと思います。詳しくは,以下の記事でもお伝えしています。

【2020年最新】京大情報学研究科各専攻の倍率変化を眺めてみる。この記事では,京都大学情報学研究科の各専攻における倍率推移を考察してみます。過去11年分のデータを記載しています。これから大学院進学を目...

データは教務掛にお願いしていただきました。

過去の入試倍率の遷移

倍率の推移

知能情報学

知能情報学専攻の倍率推移

社会情報学

社会情報学専攻の倍率推移

先端数理

先端数理科学専攻の倍率推移

数理工学

数理工学専攻の倍率推移

システム科学

システム科学専攻の倍率推移

通信情報

通信情報システム専攻の倍率推移

募集人数

募集人数の推移

応募人数

応募人数の推移

特に2019年度は…

2019年度の各専攻の応募人数

改めて,2019年度の各専攻の倍率を掲載しておきます。これらの倍率も,専攻を選ぶ1つの材料となると思います。これからも,知能情報の入試は戦争状態が続くと思います。

【各専攻の倍率】
●知能情報:103/33 = 3.12倍
●社会情報:61/32 = 1.91倍
●先端数理:21/14 = 1.5倍
●数理工学:32/19 = 1.68倍
●通信情報:64/39 = 1.64倍

志望研究室決め

上記HPを参考にしながら,自分の希望する研究室を決めましょう。なぜ,このタイミングで研究室を決めてしまうのか。それは,勉強内容を定めるためです。狙う研究室によって勉強内容が大きく異なることがあるため,出来るだけ早く希望の研究室の目星をつけておくべきです。

そして何より,研究室を調べていると勉強のモチベーションが高まります。自分の好きなことができる研究室が見つかれば,自然に勉強に対する意欲も湧いてくるものです。例えば,私の場合は志望の研究室が知能情報学専攻であったため,以下のような出題が決まっていました。

【情報学基礎(必須)】
・線形代数、微分積分
・アルゴリズムとデータ構造

【専門科目(2題選択)】
・認知神経科学、知覚・認知心理学
・統計学
・パターン認識と機械学習
・情報理論
・信号処理
・形式言語理論、計算理論、離散数学

情報学基礎は,必ず解答しなくてはならないため,勉強することは確定です。続いて,専門科目の中から自分が選択する問題を決めてしまいます。私の志望は音声メディア系であったため,「認知神経科学、知覚・認知心理学」は特に必要ない知識でした。

「認知神経科学、知覚・認知心理学」は著作権の問題で過去問に問題文が掲載されていない場合があります。ですので,対策は難しいかもしれません。

選ぶ問題は2題とはいえ,保険のために一通り勉強する方が無難でしょう。そのため,「認知神経科学、知覚・認知心理学」が消えてしまえば,残りの全分野を網羅する必要があります。しかし,外部の方にとっては,これらの内容を一から勉強していくのは非常に骨の折れる作業になります。

そこで,1つのアドバイスなのですが,「形式言語理論、計算理論、離散数学」は優先度を低くしてしまうと良いと思います。というのも,過去問の傾向からこの分野は難しい問題が出やすく,学部時代にグラフ理論や形式言語理論に馴染みがない人でない限りパッと答えるのは厳しいからです。また,網羅すべき内容が多岐にわたってしまうという点も指摘できます。

以上をまとめると,勉強すべき内容は以下のようになります。

【勉強するべき内容】
・線形代数、微分積分
・アルゴリズムとデータ構造
・統計学
・パターン認識と機械学習
・情報理論
・信号処理
(・形式言語理論、計算理論、離散数学)

英語テスト対策

他にも,英語のスコア提出にTOEICかTOEFLが必要ということで,別途対策が必要になります。私はTOEFLなんぞ聞いたこともない状態でしたので,こちらの勉強も非常に大変でした。

当時の愚かな私はIELTSのスコアも提出できるものだと思い込んで,意気揚々とIELTS対策をしていました。しかし,使えるのはTOEICかTOEFLのスコアだけですので注意してください。

IELTSがダメだと分かった私は,留学も考えていたため,TOEICではなくTOEFLを選択することにしました。しかし,正直なところ,知能情報学専攻の「TOEIC⇆TOEFL」の換算はTOEICに圧倒的に有利なように設定されています。ですので,特別な事情がない限りはTOEICを選択することをおすすめします。

当時に得た知見やノウハウは以下の記事にまとめてあります。

過去問入手

目指したい研究室が決まれば,早速アポイントを取って見学に行くとよいと思います。目的は,大きく分けて3つあります。1つ目は,研究室の雰囲気を知るためです。最近「アカハラ」という言葉が出てきているように,アカデミックな場での学生に対する扱いが問題になっています。これは全く他人事ではなく,研究室の内部事情を知らずに受験をして痛い目にあった友人もいます。分野的に自分とマッチした研究室が,自分の過ごしやすい雰囲気がどうはよく精査する必要があります。

2つ目は,研究内容をより深く知るためです。HPなどには研究の概要しか載っていないことがほとんどだと思います。また,学部生の時点であれば,志望する研究室が出している論文を読むのも一苦労だと思います。ですので,直接研究室の方々のお話を伺える機会を作ることは非常に重要です。目指す研究室が行なっている研究を深く知ることができれば,自分が勉強する分野の時間配分も上手く行うことができます。

最後は,過去問をもらうためです。正直,過去問をもらうために研究室に行くのはどうかと思いますが,実際に受験生の立場からすれば,そのような目的から研究室訪問をしようとするのはごく自然なことだと思います。優しそうな先輩を捕まえて,過去問について相談してみるとよいでしょう。

おすすめはオープンキャンパス等のイベントを活用することです。他の研究室も併せて見学することができるため,特に遠方の方はオープンキャンパスの情報をよく調べておくとよいと思います。

授業資料集め

さて,ここからは具体的な勉強方法についてお伝えしていこうと思います。まず,簡単な方針を共有しておきます。

【勉強方針】
●参考書を利用して概要を把握する
●該当する京大の授業資料を完璧にする
●過去問を10周する
●演習問題を解きまくる

まずは,参考書を利用して勉強しようとしている分野の概要を把握します。以下の記事で,私が院試勉強に利用した参考書をレベル別に列挙していますので,ぜひ参考にしてください。

これらの参考書を利用すれば,勉強しようとしている分野がどのような立ち位置なのかを確認することができます。暗中模索で勉強することほど辛いことはないと思いますから,まず最初に大枠を掴んでしまうことは非常に大切なことです。

続いて,京大の授業資料を完璧にしましょう。なぜか。それは,過去問に授業資料と似たような問題が出題されやすいからです。特に,情報理論などはその傾向が強く,西田先生のHPに載っているスライドや授業資料とほぼ同じ問題が出題された年もありました。

ですので,自分が勉強する分野の授業資料は必ず集めるようにしてください。外部の方は,研究室見学に行った際に先輩に相談するとよいでしょう。また,1人でも京大生の繋がりがあるのであれば,その方に土下座してでも集めてもらうようにしましょう。もし,何の繋がりもなく途方に暮れている場合は,私に連絡してくれれば何かしらの策は打ちます。その場合は,お問い合わせページよりご連絡ください。

授業資料がない分野は,指定された教科書を読むようにしましょう。

ひたすらに勉強

あとは,ひたすらに勉強を重ねるだけです。おそらく,知能情報学専攻を目指される方であれば,生半可な勉強量では競争に打ち勝つことはできないと思います。とにかく勉強を続けましょう。

内容としては,上でお伝えしたように「英語対策」「分野の大まかな網羅」「過去問研究」です。具体的な内容は,当サイトの記事を参考にしていただければ幸いです。

ここで,少し私の話を挟みたいと思います。特に外部生に向けてのメッセージにはなってしまいますが,ご勘弁ください。お伝えしたいこととしては,苦労して今の研究室に入れて本当によかったと思っているということです。

周りのレベルの高さはもちろんのこと,学生に対する教育体制や授業の質など,申し分ない教育環境が整えられていると思います。この記事を執筆当時は,まだ入学してから半年しか経っていませんが,学部4年間を凝縮したほど濃密な時間を過ごすことができています。

私が知能情報学専攻を目指そうと決意したのは,学部3回生の秋頃だったかと思います。決意はしたものの,周りに助けを求める人が全くおらず,まさに暗中模索しながら院試対策を行いました。過去問を見たときに,パッと見てそれぞれが何の分野に対応しているのかが分からないレベルからのスタートでした。

信じられたのは勉強することだけで,暇さえあれば何かしらのインプットかアウトプットをしていました。トイレをしている間に自分の間違えポイント集を暗記し,食事を取っている間に単語帳を暗記し,シャワーを浴びている間にスピーキング練習を行いました。

本当に発狂しそうな体験でした。しかし,月並みな言葉ですが,今の自分を形作っているのは当時の辛い経験だと強く感じています。でもでも。こんな辛い経験を皆さんにはしてほしくないと思っています。この考えから,私はブログを始めることになりました。

このブログでは,私が苦労して身につけたノウハウやアイディアなどを分かりやすい形で正確に発信することを心がけています。ですので,知能情報学専攻を目指される方であればお気軽にご相談していただければと思います。

過去問を回す

受験を攻略するにあたり,過去問研究は避けては通れない道です。私は何十周したか覚えていませんが,最低でも10周はするようにしましょう。

答え覚えちゃうくない?

と思われる方も多いと思います。もちろん,1週間で10周するわけではなく,1年程度かけて10周するのです。忘れかけていた頃に取り組むのが一番効果があります。

一応補足しておくと,大学の学問という視点からすると過去問を回しまくるのはあまり得策ではありません。演習問題を解く能力ばかりを身につけても,本質的な能力は身につきにくいからです。ですが,この記事ではみなさんが,大学院で最高の環境を手に入れるためにどのような方針で勉強していくのが良いのかをお伝えするものです。ご了承いただければと思います。

当ブログの1つのアウトプットとして「知能情報学専攻の過去問解答解説3カ年」があります。ランニングコスト等の観点から有料にはなってしまうのですが,必要に応じてご購入を検討していただければと思います。最終的に宣伝になってしまってすみません。

最後に

みなさんが努力できるような環境を作れるように,私も最大限のお手伝いをさせていただきたく思っています。本ブログの最も深いモチベーションは,まさにそこにあります。院試対策に限らず,大学院の生活や研究内容,就職活動の相談等もできる限りお受けしたいと思っています。お気軽にご連絡いただければと思います。

POSTED COMMENT

  1. かずっちょ より:

    こんにちは、知能情報学専攻を志望している者です。入試の詳細について詳しくまとめて頂きありがとうございます。
    出題科目についての項にて、「専門科目は4題選択」となさっていますが、私が京都大学のホームページ
    (http://www.ist.i.kyoto-u.ac.jp/ist-exam/index5.html)
    で見た昨年の過去問には2題選択と書いていました。
    私の見ているページが間違っていれば指摘して頂きたいのですが、もしミスであれば後の解説も前提が違ってくるので、見直して頂けると幸いです。
    よろしくお願い致します。

    • zuka より:

      かずっちょ様
      当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
      ご指摘非常に助かります。修正致しました。
      他にも気になるところがあれば,ぜひ教えていただけますとありがたいです!
      宜しくお願い致します。

  2. Suzuki より:

    こんにちは。大変ためになる記事をありがとうございます。機械学習の勉強について質問させてください。
    以下の3点が気になっております。
    1、PRMLをどれくらいの期間で読了されたか
    2、PRMLあるいは機械学習の論文において、分からない数式などの対応はどうしているのか
    3、数学の参考書のページにまだ乗っていないが、機械学習の論文を読むのに役立ちそうな数学の本

    長文になってしまいましたが、お時間ありましたら回答頂けると助かります。
    よろしくお願い致します。

    • zuka より:

      Suzuki様

      コメントありがとうございます!
      ご質問にお答えしていきます。

      1、PRMLをどれくらいの期間で読了されたか
      流し読み程度であれば1ヶ月ほどです。しかし,恥ずかしながら細部まではまだ理解できていないというのが現状です。現在は演習問題を解くことで実際に手を動かしながら読んでいるところです。

      2、PRMLあるいは機械学習の論文において、分からない数式などの対応はどうしているのか
      PRMLではherumiさんの「パターン認識と機械学習の学習」が参考になります。こちらでも理解が難しいということでしたら,一度微積・線形・統計学の基本的なテキスト(本屋さんで立ち見して自分がこれなら分かりそうだと感じるものでOKです)でおさらいすることをオススメします。論文では,引用元の論文などを辿っていけば詳しく書かれている論文が見つかることがあります。また,一種のお作法的な式変形は一気に飛ばされる場合が多いため,注意が必要です(例えば変分推論における変分下限の導出など)。引用元を辿ってもわからない場合は,類似しているトピックのQiitaや個人ブログなどでヒントを得るようにしています。Wikipediaを参照する場合は,英語版を見た方がベターです。というのも,日本語版では詳細に書かれていない部分が英語版ではしっかりと書かれている場合があるからです。

      3、数学の参考書のページにまだ乗っていないが、機械学習の論文を読むのに役立ちそうな数学の本
      「機械学習プロフェッショナルシリーズ」「機械学習スタートアップシリーズ」は強くオススメします。PRML読まずに,こちらの中から自分の分野に該当するものを読めば事足りてしまう場合もしばしばあります。というより,PRMLはベイズに寄り過ぎているという指摘もあり,現在では機械学習スタートアップシリーズの緑本(ベイズ推論による機械学習入門)を読む方がベターだという意見もあります。特に,Suzuki様がまだ学部生でおられるのであれば,PRMLでは確実にオーバーキルです。はじパタ・わかパタ・緑本で十分だと思います(PRMLは大学院の輪読などで利用されるほど敷居の高い文献になっています)。

      またご質問等あればお気軽にコメントしてください!

  3. Suzuki より:

    ご回答ありがとうございます。非常に参考になりました!
    今後ともに、機械学習の勉強をしていこうと決意できました。

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